“男の育休”戸惑いと発見。ネット情報より頼りになった「尊敬できない義母の助言」
休職への不安や昔気質な両親からの心配
金銭的な不安はあったが、上司や職場が育休に理解を示してくれたこともあり、休職への不安は少なかったとか。高木さん自身も、担当している各ライターの案件や傾向、注意ポイントなどの申し送り事項を細かくまとめ、スムーズに引継ぎができるよう配慮している。 「編集者はライターさんとの相性が大切なので、引継ぎや育休明けのときには細心の注意を払いました。これも、職場の理解があったからこそスムーズにできましたし、時代もよかったと思います。嫌な顔をされたり、逆に気を遣われたりもなかったです」 ただ、編集という仕事ならではのアクシデントが発生し、「育休前に編集作業をした本の出版記念イベントが、育休中に開催されることになったのです。育休中なので仕事はできない。でも、一個人としては出席したい…」という状況に追い込まれてしまう。 「結果、“お客さん”として顔を出させてもらいました。そのほか、仕事のこと以外で気持ち的に大変だったのは、昔気質な自身父親に育休について伝えたところ、『そんなに休んで大丈夫か?』『迷惑かけてるんじゃないか?』とかなり心配されたことです」 高木さんは、「育休は家族の了承がなくても取得できますし、父親に話したのは育休に入ってからだったのでよかったですが、時代が違えば感覚や価値観が違ってくるので、説明してわかってもらうのが大変でした」と振り返る。
まったく尊敬できない義母からのアドバイスに驚愕
妻A子さんが出産したあとは、怒涛の日々が待っていた。出産後は、妊娠中や出産で変化したカラダがもとに戻るための回復期間“産褥期”にあたるため、A子さんの代わりに高木さんが赤ちゃんに粉ミルクをあげたりオムツを交換したりと、もうバタバタ。 「戸惑うことも多かったです。赤ちゃんは、すぐ泣くし、すぐお腹が空きます。なので、3時間おきぐらいに起きてミルクを作るのですが、泣いて起きることもある。そういうときは、泣き止むまで抱っこして…。そういうのが、最初はすごく大変でした」 また、赤ちゃんはいつも泣き止んでくれるわけではない。抱っこしても泣き止まず、困り果てたこともあった。そんなときに頼ったのが、いつも深夜まで起きているA子さんの母。高木さんいわく「仲はいいが、まったく尊敬できない義母」なのだとか。 「義母は、こちらが心配になるぐらい、お酒もタバコも大量に摂取。さらに、毎日パチンコに通って、深夜までアニメを見てダラダラ過ごすという、まったく尊敬できない生活を送っています。まぁ、深夜まで起きているのがわかっていたから電話できたのですが」 義母は、アドバイスを求めた高木さんに状況を聞くと、こう言い放った。「立ったらいいんや!」。シンプルに、それだけ。ベッドに座って赤ちゃんを抱っこしていた高木さんが義母のアドバイス通り立ち上がったところ、なんと赤ちゃんがピタリと泣き止んだのだ。 「ベビーカー(バギー)で散歩しているときに赤ちゃんが泣き止まなくなったこともあります。このときも義母に電話すると、また状況を聞かれ、『サンシェード(日よけのフード)を開けたらいいんや!』と、一言。サンシェードを開けたら、またピタリと泣き止みました」 そのあと、義母から「赤ちゃんはサンシェードで景色や親の顔が見えず不安になったのだろう」とアドバイスもあり、これまでまったく尊敬できなかった義母の的確なアドバイスに驚愕。子育て経験者のスゴさを体感し、尊敬できる部分を発見したという。