2024年、「暗号資産の夏」がやってくる。今回は違う。
持続可能な夏
1つ目は、この夏がより持続可能なものになることだ。マクロ経済の変化は確かに過去のブロックチェーンの夏に影響を与えたが、イーサリアムのようなエコシステムがキャパシティの限界にぶつかって高額の手数料を生み出したり、多数の詐欺、機関投資家の資本プールの限界など、他の問題の方がはるかに大きな影響を与えたと考えている。 だが今回は違うかもしれない。レイヤー2がイーサリアムに膨大なキャパシティを与え、世界中の規制当局が年金基金などの機関投資家の資金フローを開放すると同時に、投資家に対してラグプルや詐欺からのさらなる保護を提供している。 これらの対策はまだ未熟であり、詐欺やリスクのない金融エコシステムは存在しないが、次の夏にはイーサリアムと暗号資産は他の金融エコシステムにかなり近い見た目と雰囲気になるだろう。
ステーブルコインとCBDCの収束
2つ目の予測は、世界の中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を導入するための好ましいアプローチとして、規制されたステーブルコインとCBDCの双方に収束し始めることだ。これは規制当局が突然、分散化と個別管理を受け入れた結果ではなく、現実的な選択に過ぎない。 現在、ほぼすべてのCBDC計画はトークン化された中央集権的なシステムに接続されている。その結果、中央銀行はCBDCのプロトタイプやパイロットは機能するものの、技術的には既存のRTGS(即時グロス決済)システムに対する付加価値はかなり限定的なことに気づいている。 これらの欠点を修正する方法はどれもあまり魅力的に思えない。中央銀行がイーサリアムに匹敵する完全にプログラム可能でオープンなシステムを構築することは、技術的に途方もない挑戦のように思えるし、単一の国家コインをパブリックネットワーク上に展開することは潜在的なハッキングのリスクを招く。 公共セクターが管理するCBDCが推進され、説得力ある価値を提案するケースもあるだろう。このようなケースは、まだ即時決済を導入していない国(多くはない)や、政府が消費者決済の分野でより激しい(そして低コストな)競争を望んでいる国で最も注目を集めることになると思う。 世界の消費者決済市場は高度に統合されており、アメリカやカナダなど多くの国では、オーストラリアのような低コストの先進事例に比べて決済手数料が際立って高く思える。 このような課題や明確な価値提案の欠如にもかかわらず、多くの中央銀行はリテール、ホールセールの双方のCBDCを導入することを断固として決定しているようだ。 正直なところ、何がこの動きを後押ししているのか理解できていない。だが、CBDCを推進する動きは、本当に大きな問題を解決するというよりも、金融システムに対するさらなる権力と支配力を得ることに関係しているのではないかと思うようになっている。 CBDCがあったとしても、規制されたステーブルコインも登場すると私は考えている。CBDCが、DeFiサービスやデジタル資産の購入に使用できるブロックチェーンベースのプログラム可能な通貨に対する需要を抑えることはないだろう。
産業界での応用の進展
最後に、産業用アプリケーションの進展が続くことに期待したい。これは最も遅く、最も華やかではない進歩だが、確かに起こっている。企業は、暗号資産取引所で起きたようなスキャンダルに簡単に怖気づくが、記憶が薄れ、ソリューションが改善されるにつれて、採用が着実に再加速されることを私は望んでいる。 2024年に夏が来るとは約束できないが、春の香りは確かに漂っている。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:In 2024, Crypto Summer Is Coming, and This One Will Be Different
CoinDesk Japan 編集部