船舶リサイクルとは?脱炭素化に向け日本郵船が共同検討
日本郵船は18日、産業廃棄物処理などを手掛けるオオノ開發(松山市)と船舶リサイクルの事業化に向けた共同検討で合意したと発表した。国内で船舶や大型海洋構造物を解体し、鉄スクラップを鉄鋼原料として鉄鋼メーカーに供給することを想定している。最新鋭の陸上解体・廃棄物処理の手法を導入し、環境や労働安全に配慮した船舶解体の実現を目指すとともに、鉄鋼資源の循環を促進する狙いだ。
18日に東京都内の日本郵船本店で覚書が締結された。日本郵船からは長澤仁志会長と曽我貴也社長、オオノ開發からは大野照旺会長、山下裕二社長が出席した。
国内での船舶リサイクル事業の具体化に向けて、解体する船舶の調達や解体の手法、鉄スクラップや中古舶用機器の売却、鉄スクラップの国内輸送、有害物質の無害化や埋め立てなどについて共同で検討する。
船舶の解体工事は、オオノ開發が2021年にIHIから取得した愛知県知多市の大型外航船に対応した国内唯一のドライドックで実施する。敷地面積は39ヘクタールで、国内最大級のドライドックは奥行き810メートル、幅92メートル、高さ14・3メートル。大型外航船2隻を同時に解体できる。
オオノ開發の山下社長は「日本郵船の船舶に関する知見と当社の解体についての技術力を融合し、世界最高水準の環境配慮型の解体ヤードを整備する。人と環境に優しいシップリサイクルを実現したい」と述べた。
日本郵船の曽我社長は「船舶などを解体し、そこで得られた鉄スクラップから新たな鉄をつくりわれわれの生活に役立てることは、資源循環型社会の実現に向けて重要だ。社会の脱炭素化に貢献する取り組みの一つのシンボルになる」と語った。
鉄スクラップを巡っては、将来的に国内で需給が逼迫(ひっぱく)するとの見方がある。世界的に脱炭素の流れが加速する中で、電炉向けなどで鉄スクラップの需要の高まりが予想されるためだ。そこで、不純物の含有量が少ないスクラップは鉄資源としての価値が高まっている。