Official髭男dism、千葉雄喜、Stray Kids、THE RAMPAGE、詩羽、Saucy Dog……注目新譜6作をレビュー
THE RAMPAGE、詩羽、Saucy Dogの新作もチェック
THE RAMPAGE「Drown Out The Noise」 陽東太郎の同名漫画をTHE RAMPAGE・吉野北人主演で映画化した『遺書、公開。』の主題歌。吉野本人がデモ選びを行うなど、制作プロセスから参加した「Drown Out The Noise」は、鋭利に歪んだエレキギター、分厚いビートを軸にしたサウンドが高らかに鳴り響くアッパーチューン。力をため込むように抑制された平歌から強靭なイメージをもたらすサビのメロディの飛距離、そして、吉野、川村壱馬、RIKUの3ボーカルがぶつかり合うことで生じる緊張感・解放感がこの曲の魅力だろう。過酷な状況にぶち当たりながらも、〈聞かせてくれ/声の限り/もっと叫べ〉と己を鼓舞するような歌詞も、映画の世界観とTHE RAMPAGEのイメージをしっかりと結びつけている。(森) 詩羽「bonsai feat.CENT」 詩羽(水曜日のカンパネラ)の対バンツアーのファイナル公演(11月27日)で元BiSHのセントチヒロ・チッチによるソロプロジェクトであるCENTとともに披露された「bonsai feat.CENT」がついにリリースされた。作詞を詩羽、チッチ、竹縄航太・岩野亨(tarareba)、作曲を詩羽が手がけたこの曲は、スクラッチを交えたオールドスクール的なトラック、ふくよかな低音の響きを効かせたサウンドメイクが印象的なHIPHOPチューン。心地よさと切なさが溶け合うフロウとともに奏でられる、〈私は凡才 なんにもできない天才〉からはじまる歌詞も最高。誰もが認める天才ではないけれど、自分らしさを大事にしながら、心を許せる仲間と互いを補い合いながら進んでいきたい――その根底にあるのはもちろん、詩羽とCENTのシスターフッド的な信頼関係だ。(森) SaucyDog「おやすみ」 ミニアルバム『ニューゲート』の冒頭を飾る新曲。作品の7曲中5曲はタイアップ楽曲なので、対象によって言葉や雰囲気が変わるのは当然のこと。その中でもとてもパーソナルな言葉をタイトルに冠したこの「おやすみ」を聴くと、石原慎也(Vo/Gt)の描く世界がずいぶんノスタルジックであることに驚かされる。蚊取り線香、鈴虫の鳴き声、首を振る扇風機など、全体に昭和チックというのか、少なくとも都会の香りが全然しないのだ。ヒットメイカーの地位を築いた今だから出せる原風景、もしくは素朴な人柄が滲む曲ばかりだからヒットしたと言うべきか。飾りのない、ごくシンプルなバンドサウンドも含め、Saucy Dogの魅力がしみじみ理解できる一曲。(石井)
石井恵梨子
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