五輪汚職「談合した認識なかった」…電通元スポーツ局長補が被告人質問、高圧的な取り調べも訴え
東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)に問われた広告最大手「電通グループ」と同社元スポーツ局局長補・逸見(へんみ)晃治被告(56)の公判が24日、東京地裁(安永健次裁判長)であった。逸見被告は被告人質問で「当時は談合した認識はなかった」と述べた。 【チャート図】一目で分かる…東京五輪・パラ談合はこうして行われた
起訴状によると、電通など6社と逸見被告や大会組織委員会大会運営局元次長(57)(有罪確定)らは2018年2~7月頃、組織委発注の業務で談合したとされる。電通側は、競争入札で行われたテスト大会計画立案業務について談合を認める一方、随意契約だったテスト大会実施と本大会運営の両業務については否認している。
逸見被告は「組織委から依頼されて、国際オリンピック委員会などとの信頼関係を改善し、適正な経費でテスト大会を実施するため、適正な事業者を調べていた」と説明。その上で「入札による発注が決まった時点で組織委との付き合い方を変えれば良かった」と述べた。
検察側は、テスト大会の計画立案業務の入札が、本大会業務までの事業者選定を兼ねていたと主張しているが、逸見被告は「計画立案業務を受注したからといって、テスト大会実施や本大会運営の業務も受注できるとは思っていなかった」と語った。
法人としての電通も18日の被告人質問で、曽我有信・代表執行役副社長(59)が「入札手続きが決まった後も組織委に頼られるがまま協力関係を続けた結果、起訴された」と言及。「(元次長以外の)組織委の人が罰されず、自社の利益のためにやったという構図になっていることは理解できない」と話した。
「屈辱的だった」
逸見被告はこの日の被告人質問で、逮捕前の取り調べを担当した東京地検特捜部の複数の検事から高圧的な言動を繰り返されるなどしたとも訴えた。
逸見被告によると、検事の一人は「談合の事実を認めないと、供述調書を作る意味がない」として、否認の主張を聞き入れてくれなかったという。「国民やメダリストに謝れ」とも言われたといい、逸見被告は「屈辱的だった」と振り返った。