高校生離れした大阪桐蔭の超新星・前田悠伍 決勝で見せた完成度
第94回選抜高校野球大会は最終日の31日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で決勝があり、大阪桐蔭が近江（滋賀）を18―1で破り、4年ぶり4回目の優勝を果たした。大阪桐蔭は2年生左腕・前田悠伍（ゆうご）が圧巻の投球で優勝に貢献した。 【写真一覧】毎日新聞記者が選ぶベストナイン ◇ 2年生左腕が決勝のマウンドでひょうひょうと投げ切った。カウントが不利になっても変化球でカウントを整え、無駄な走者を出さない。7回を被安打2、11奪三振で四球はわずか1個。高校生とは思えない完成度の高い投球を披露した。 しなやかな腕の振りから繰り出される直球は球速以上に切れがあり、スライダーも含めてコーナーに決まった。圧巻は近江打線のキーマンである1番・津田の裏をかき、二つの三振を奪った場面。三回は2死二塁での対決だったが外角中心で的を絞らせず、最後は132キロの外角高め直球がコースに決まって手を出させなかった。「三振が欲しかったので狙い通りだった」。投球にはすごみがあった。 五回は味方の失策で1点を失ったものの、動揺するそぶりはなかった。2死一塁で迎えた津田に対し、今度は内角も見せた上で、フルカウントから外の133キロ直球で見逃し三振を奪った。 名門に現れた超新星だ。昨秋は1年生にして主戦投手となり、初の甲子園に向けて制球力を磨いた。今大会は最速145キロのスピードよりも制球を意識してマウンドに上がった。決勝を含む2試合に先発し、計13回を投げて被安打3、2試合連続2桁となる計23三振を奪い、2四球と文句ない成績だった。「甲子園は素晴らしい場所で、楽しむように意識している」。緊張とは無縁の大物感が漂う。 花巻東（岩手）の強打者・佐々木麟太郎らと並び「2年生四天王」の一角と評されて注目されたセンバツ。「マウンドに立った選手こそエース。与えられた試合で投げ抜くだけ」。4年ぶりの優勝に貢献した背番号「11」の左腕が、ライバルたちを一歩リードした。【浅妻博之】
