老朽マンションの建て替え促進へ 見直し案、合意決議の要件緩和
法制審議会(法相の諮問機関)の区分所有法制部会は16日、老朽化した分譲マンションの建て替えを促進する制度見直しの要綱案を取りまとめた。「所有者の5分の4の合意」を求める決議の現行要件を、耐震性不足などの問題があれば「4分の3」に緩和する。大規模災害で被災したマンションの処分を容易にする施策も盛り込んだ。法務省は、通常国会への区分所有法などの改正案提出を目指す。 マンションは、建物の老朽化と所有者の高齢化という「二つの老い」が指摘される。国土交通省などによると、築40年以上のマンションは2022年末時点で約126万戸。42年末で445万戸に増えるとの推計がある。相次ぐ地震などの災害に備え、倒壊を防ぐため、建て替えやすくする合意要件の緩和が急務だとの声が上がっていた。 要綱案は(1)耐震性不足(2)火災への安全性不足(3)外壁剥落などの恐れ(4)給排水管腐食など衛生上の問題(5)バリアフリー基準に不適合―のいずれかに該当すれば、合意要件を4分の3に引き下げるとした。