「ロシア軍司令部」をウクライナがHIMARS攻撃、ミサイル直撃「爆発の瞬間」をウクライナが公開
<ロシア軍が攻勢をかけるウクライナ南部ザポリージャだが、司令部の破壊は占領地における大きな打撃になるとウクライナ側は主張している>
ウクライナ軍が南部ザポリージャ州にあるロシア軍司令部を破壊したと発表し、攻撃の瞬間を捉えたものとされる動画がSNSに投稿されて注目を集めている。ロシアは同州で大規模な攻撃を計画しているとされ、ウクライナ側が警告を強めているが、そうした状況下でロシア側の重要な軍事資産が破壊されたという情報は、ウクライナ軍の士気を高めることになる。 【動画】「ロシア軍司令部」をウクライナがHIMARS攻撃、ミサイル直撃「爆発の瞬間」をウクライナが公開 東部ドネツク州の前線の一部では、ロシア軍が優勢となっている。ザポリージャ州は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が一方的に併合を宣言した4州の1つだが、ロシアが完全に支配しているわけではない。 ウクライナ国防省情報総局(HUR)は、自国軍との共同作戦で攻撃を行ったと明らかにした。ウクライナの国営通信ウクリンフォルムは12月30日、タブリアの部隊との共同作戦で「一時的に占領されたザポリージャ州にあるロシア軍司令部を破壊した」と、HURが発表したと報じた。攻撃の日付や正確な場所は明らかにされていない。 HURは同日、「HURの活動作戦部による航空偵察で、司令部の位置が特定された」とフェイスブックに投稿した。「タブリアの部隊と協力し、標的に正確なミサイル攻撃を行った」とHURは述べ、「作戦の結果、司令部は破壊され、ロシア軍兵士6人が死亡、3人が重傷を負った」と明らかにした。 ■ロシアがウクライナ南部地域での攻勢を計画か 攻撃方法は言及されていないが、戦争に関する資料を翻訳する独立系プロジェクト「War Translated」は同日、ロシア軍司令部の建物は米国が供給した高機動ロケット砲システム「HIMARS」の攻撃で破壊されたとXに投稿した。19秒間の映像には、空爆が日中に行われ、煙が上がっている様子が映されている。 米ワシントンを拠点とするシンクタンク、戦争研究所(ISW)は12月29日、ザポリージャ州で攻勢作戦を続けているロシア軍が、同州西部に進攻したと発表していた。 ISWによれば、ロシア当局者のウラジーミル・ロゴフが、ロシア軍が中部カーミヤンシケ近郊でウクライナの反撃を撃退し、前進を続けていると主張した。また、モスクワの第1429修理大隊の部隊が、ザポリージャ方面で活動しているという。 ウクライナ内務省の元顧問であるアントン・ゲラシチェンコは、「ウクライナ国防省情報総局とタブリアの作戦戦略部隊の共同作戦により、ザポリージャ州の一時的な占領地でロシア軍司令部が破壊された。栄光あれ!」とXに投稿した。ウクライナを支援している「ユナイテッド24」も、「ウクライナ軍はザポリージャ州のロシア占領地に大きな打撃を与えた」とXで述べた。 情報筋によれば、ロシアはウクライナ南部での攻勢を計画しており、ザポリージャ州とヘルソン州のドニプロ川右岸での軍事作戦を強化する計画だとウクライナは主張している。ウクライナの報道機関「RBCウクライナ」は、同国軍関係者が、主な攻撃はドニプロ川沿いのピャティハトキとフリャイポレ近郊に向けられる可能性を示唆していると伝えた。
ブレンダン・コール