「103万円の壁」見直し、石破内閣の支持率上昇にはつながらず…読売新聞世論調査
読売新聞社が13~15日に実施した全国世論調査では、年収103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の見直しが、石破内閣の支持率上昇につながっていないことが明らかになった。国民民主党の主張を受け入れたことが内閣や自民党の実績と見なされておらず、石破首相は引き続き厳しい政権運営を強いられそうだ。 【図解】「103万円の壁」見直し評価と石破内閣の支持率
103万円の壁について、「178万円を目指して、来年から引き上げる」とする自民、公明、国民民主の3党の合意を「評価する」とした人(全体の68%)に限った内閣支持率は41%で、不支持率の49%を下回った。
次の衆院選後に望む政権についても、前回11月調査では「自民党中心の政権の継続」が44%、「野党中心の政権に交代」が37%だったが、今回の調査では「政権継続」と「政権交代」が41%で並んだ。3党合意を「評価する」人に限ってみても、それぞれ43%で同じだった。
引き上げを巡っては、自公の税制調査会長が2025年分から「123万円」とする案を示し、国民民主党が反発してさらなる引き上げを求めている。大幅な引き上げは税収減につながり、自治体の住民サービスなどに支障が出ることが懸念されている。
財源を考慮して引き上げ幅を決めるべきだと思うかどうかについては、国民民主党支持層で「思わない」58%が、「思う」39%を上回った一方、自民党支持層では「思う」が78%に上り、「思わない」は13%だった。
石破首相のもとで「政治とカネ」の問題が解決すると「思わない」は86%で前回11月調査から5ポイント上昇し、自民党支持層でも80%に上った。
また、今後の国政選挙で野党が、与党に対抗するために候補者をできるだけ一本化する方がよいと「思う」は55%で、「思わない」の31%を上回り、野党への期待が高まっている。
政策研究大学院大の飯尾潤教授(政治学)は「『103万円の壁』見直しの評価が石破内閣の支持につながらないのは、自民党が水面下での根回しを続け、政策決定の過程が見えにくいためだ。野党を交えて財源などの議論を、国民の目に見える形で行わないと、支持率回復は見込めないだろう」と指摘する。