リゾートでゴルフ&ワーク ワーケーションのすべては軽井沢にある
リゾートでゴルフ&ワーク ワーケーションのすべては軽井沢にある
避暑地として名高い長野県・軽井沢で今、リゾートテレワークが急速に発展している。その背景には官民一体となった様々な試みとともに、この街が歴史的にリゾートワークと深い関わりがあることもその要因だ。(※本稿は現在発売中のゴルフ雑誌「EVEN 2020年9月号」中面企画、ゴルフ&ワーケーション特集にて紹介している、軽井沢リゾートテレワーク協会、担当者へのインタビューをまとめたものです)。 軽井沢リゾートテレワーク協会 工藤朝美さん。 軽井沢観光協会、軽井沢リゾート会議都市推進協議会で、事務局長を務める。カナダ人宣教師に始まる軽井沢リゾートの歴史から現在に続くリゾートワークとの結びつきなどをわかりやすく解説いただいた。 軽井沢リゾートテレワーク協会。
別荘で培われた軽井沢のもつデュアルワークの文化
軽井沢周辺のテレワーク施設を網羅した一枚の冊子がある。制作したのは軽井沢リゾートテレワーク協会事務局。軽井沢のワーケーションをバックアップする目的で発足した組織だ。その事務局長である工藤氏に注目を集める軽井沢でのワーケーションとその背景を語っていただいた。 「2020東京大会の開催期間中、都心で働くオフィスワーカーを地方へ分散することを目的に、総務省主導でテレワークの推奨が始まったのが数年前。ただ、そもそも軽井沢の別荘地というのは、現在のよういITが発展する以前の時代から文化として2拠点居住やテレワークのルーティンが存在していたのです。明治19年にカナダ人宣教師アレキサンダー・クロフト・ショー氏が軽井沢の避暑地としてのポテンシャルを見出して以降、外国人の別荘地として評判を集めたことをきっかけに、政財界や富裕層にもその動きが波及し、今に続く別荘地を形成していったのです。 夏の避暑地として過ごす彼らは、東京からの来訪者と交流を深める中で、ビジネスの話もする。普段は世田谷や杉並に住む富裕層のコミュニティが、夏場はそっくり軽井沢に形成されるわけです。すると当然そうしたコミュニティの中から新しいビジネスも生まれます。それはつまり現代のコワーキングスペース(※編集部注 利用者同士で場所や設備を共有して利用するワークスペースで、時間単位のスポット利用から中長期間利用できるサービスもある)そのものなのです。現在でも軽井沢にはこうした別荘を持つ人たちの横のつながりのコミュニティがあり、こうした別荘文化をテレワークのモデルとして推奨してみようとなり、観光協や商工会などが共同でリゾートテレワークを推進する「軽井沢リゾートテレワーク協会」を2018年7月に発足させました。当時軽井沢にゼロだったテレワーク用のスポットは、長野県からの補助金も受け、Wifiなどの通信環境の整備とともに、丸の内や大手町の企業への研修、誘致を勧めています。現在は協会加盟だけでも19施設を数えます。もちろん職種にもよりますが、PCとWifiの環境さえあれば仕事ができる時代、このコロナ禍で一機にリモートワークが進んだことで、都心にオフィスが集中する構造は見直され、リゾートワークは今後一層の広がりが予想されます。ノマドワーカーのような単独のIT技術者向けの施設はもちろん、企業が中長期で借り上げるサテライトオフィスや2~3社でのシェアオフィスなど、リゾートワーク向けのサービスも多様化が進むと思います。 今年、軽井沢プリンスはコテージをゴルフをオプションで選択できるワーケーション用プランをスタートさせました。例えば、会社の部署で借り上げ、金曜に訪れて仕事をした後にゴルフをして、週末はワイナリーを訪れるといったチームビルディングを兼ねた目的や、友人家族同士など、新しい仕事と休暇の様式が今後軽井沢から発信されていくかもしれません」。