「峠の釜めし」は、なぜ美味しいのか?
【ライター望月の駅弁膝栗毛】 「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。 【写真全9枚】峠の釜めし包装風景(画像提供:株式会社荻野屋)
駅弁好きな人もそれほどでない人も、みんな知ってる「峠の釜めし」。群馬のローカル線の終着駅近くにある店を訪ねると、週末となれば、朝9時の開店と同時に釜めし売場にはサッと行列ができます。この「峠の釜めし」は、どのようにして作られているのか? そして、なぜ美味しいのか? 製造する会社に話を伺うと、その美味しさの理由や尋常ではないこだわりが見えてきました。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第48弾・荻野屋編(第1回/全6回)
北陸新幹線「あさま」が、群馬・長野県境の碓氷峠に向けて、力強く走り抜けていきます。今年(2024年)3月16日には、金沢~敦賀間が延伸開業する北陸新幹線。1998年の長野冬季オリンピックに合わせて、ひと足早く“長野新幹線”として開業したこの区間を、敦賀発着の「かがやき」「はくたか」が走る日が、あと1ヵ月あまりでやって来るわけです。時代と共に碓氷峠を越える鉄道風景も、日々変わっていきます。
そんな峠越えの旅のお供として、全国区の人気を誇る駅弁といえば、「峠の釜めし」です。昭和33(1958)年2月1日の発売開始から2024年で66年となりました。釜めしの製造拠点は何ヵ所かありますが、JR信越本線・横川駅近くにある荻野屋横川店に隣接したセントラルキッチンもその1つ。「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第48弾は、峠の釜めしを製造する「株式会社荻野屋」に注目いたします。
駅弁の代名詞的な存在と言っても過言ではない「峠の釜めし」(1300円)。ネーミングは、万葉歌人の1人、下野国の防人だった他田部子磐前(おさだべの こいわさき)が詠んだ和歌に由来するといいます。この「峠の釜めし」を開発した4代目の髙見澤みねじ社長が、古典文学を好きだったこともあり、そこをヒントに、「峠の釜めし」と命名したとも云われているそうです。今回は、製造風景の画像を提供いただいて、エピソードを伺いました。