戸田恵子「50年前、歌手を目指して上京。還暦に作ったお芝居をニューヨークで演じられるご褒美が!」
現在発売中の『婦人公論』2024年6月号の表紙は、女優の戸田恵子さん。歌手を目指して上京し、お芝居の道へ進んだのは人からの誘いがきっかけだったと話す戸田さん。還暦記念のショーの脚本を三谷幸喜さんに頼んだところ……。発売中の本誌から、特別に記事を先行公開いたします。(撮影=浅井佳代子 構成=篠藤ゆり) 【写真】「あの声」が想像できる、戸田さんの爽やかな笑顔 * * * * * * * ◆自分から発信! 歌手を目指して上京したのは、50年前です。鳴かず飛ばずで諦めかけていた時、「劇団薔薇座」の座長だった野沢那智さんが声をかけてくださって、お芝居を学ぶようになりました。 声優への道もつけていただいて。 テレビドラマへの出演も、実は自分から望んだわけではなくて――その時々で、「よし、この舟に乗ってみよう!」と身をゆだねながら、ここまでたどり着いた。 不思議な道のりでしたね。
◆歌もお芝居も楽しめるショーを 還暦の時、応援してくださる皆さんにお芝居で感謝の思いをお届けしようと思い立ちました。 そこで三谷幸喜さんに、「一人のアーティストを取り上げて、歌もお芝居も楽しめるショーを書いていただけませんか」とお願いしたんです。 想定していたのは日本人の江利チエミさんや笠置シヅ子さんでしたが、三谷さんが書いてくださったのは、ジュディ・ガーランドの付き人で専属の代役でもあった女性。その人生を題材にした一人芝居『虹のかけら~もうひとりのジュディ』でした。 台本ができたのは幕が開く6日前で、地獄のような稽古期間でしたけれど。(笑)
◆ずっと仕事を続けてきたことへのご褒美が 3年半前に同作をブラッシュアップしたものを再演し、今年、日本に加えニューヨーク、カーネギーの小ホールでも上演することになりました。 実は以前も計画していたのですが、コロナ禍で立ち消えに。それっきりになると思っていたので、正直びっくり! ずっと仕事を続けてきたことへのご褒美かもしれません。 舞台はとにかく体力勝負。とはいえもう若くはないので、毎朝「しんどいなあ」と感じます。 60歳を過ぎてからは睡眠をしっかりとるよう心がけていますが、千秋楽まで走り通せるか不安になることも。最近、この先あと何本芝居ができるだろうかと自分に問いかけています。 自分から発信して、年齢を重ねた今だからこそできる舞台に挑戦していきたいです。 (構成=篠藤ゆり、撮影=浅井佳代子)
戸田恵子
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