ヤクルトでは犯人探し、阪神の若手ホープは「メジャーに行きたい」…プロ野球「番記者が書かない裏話」
「上が替わるだけでこんなに変わるのかとビックリしましたね。声が出ているし、選手の動きが溌剌としている」 【思わず二度見】選手と通訳の関係以上…大谷翔平と水谷一平氏「車内での親密」写真 スポーツ紙巨人担当がそう口を揃えるくらい、阿部慎之助監督(45)率いる新生ジャイアンツが元気だ。 「阿部さんはノックで選手をシゴきまくる”スポ根”ぶりが目立っていますが、ちゃんと若手を試合で使ってくれる。原辰徳(65)時代は結果が出ないと若手はすぐ外されるから、どこかオドオドしてプレーしていました。それが、原政権でチーフ打撃コーチを務めたデーブさん(大久保博元・57)がグラウンドから排除されるくらい、原カラーは一掃された。冷や飯を食っていた選手たちは目の色を変えていますよ。まあ、デーブさんが取材NGを喰らったのは、YouTubeの撮影が原因ですけどね」(球団関係者) 原政権で伸び悩んでいた松原聖弥(29)がオープン戦打率.364(数字は3月18日現在。以下同)、萩尾匡也(まさや)(23)が.316と息を吹き返し、ルーキーの佐々木俊輔(24)も.452と躍動。巨人の外野は、メジャー178発を誇る大砲・オドーア(30)を含めた史上稀にみるハイレベルなレギュラー争いを繰り広げている。 そんな宿敵の変化を”智将”岡田彰布監督(66)は見逃さない。「原は何も怖くない」と昨季は相手にしていなかった巨人をアレンパの壁として早々に警戒――したのはいいのだが、自軍は9連敗を含む1勝11敗とオープン戦最下位。「さすがに不安を抱いているようです」とスポーツ紙阪神番記者が打ち明ける。 「不安の対象は振るわない打線よりも、守備でのエラーや安定しない投手陣。順調に来ているのは『10勝くらいできる』と期待を隠さない門別啓人(もんべつけいと)(19)くらい。西純矢(22)、及川(およかわ)雅貴(22)は伸びてこず、岩貞祐太(32)ら中継ぎ陣もピリッとせずで……とくに心配なのがセットアッパーの湯浅京己(あつき)(24)ですね」 WBCで活躍した代償か、湯浅は昨季、まともに働けなかった。それでも日本シリーズの流れを変えた”湯浅の一球”で復活を印象づけ、岡田監督も「湯浅が一番の新戦力よ」と相好を崩していたのだが――2月23日の巨人戦(オープン戦)で2失点するや即、二軍行き。「一度失敗したくらいでファームとは岡田さんらしくない」と番記者たちは騒然とした。 「どうも湯浅が『メジャーに行きたい』と漏らしているのが、監督の耳に入ったみたいで。WBC出場がキッカケのようですが、たった1年しか実績を残していない選手が言うセリフではない。岡田さんは打たれて帽子を投げつけるような、子供っぽい投手が大嫌いですからね。調子に乗りやすい湯浅にクギを刺すべく、厳しく接しているのでしょう。もちろん、期待の裏返しです」(夕刊紙デスク) 暗い話題ばかりの阪神だが、「朗報」もある。前出の阪神番記者が言う。 「38年ぶりの日本一をもたらした岡田監督ですが、年齢的な限界もあって、2年契約が切れる今季でユニフォームを脱ぐと見られてきました。ただ、昨季、1年間戦ってみて、ノックも打てていますし、続投に色気が出ている。アレンパ成れば有終の美で身を引くことはありえますが、岡田監督は酔った席で『2年契約やけど、負けたらわからん。負けて終われへんよ』と話しているそうです」 智将の残留――それはある意味、最大の補強かもしれない。 「番長がリーゼント頭を抱えていましたよ」と苦笑するのはスポーツ紙DeNA担当記者。今永昇太(30)、バウアー(33)という完投能力の高い左右エースが抜けたとあっては、三浦大輔監督(50)が頭を悩ますのは当然だろう。 「バウアーはまだ浪人中だから復帰の可能性はあるのですが……どうも球団が引き気味らしい。だからこそ、育成を含め外国人投手を5人も獲ったのだと私は見ています。舌禍事件もありましたしね」(スポーツライター・藤本大和氏) 野手陣には明るい話題がある。ドラ1の度会(わたらい)隆輝(21)が打率.429と打ちまくるなど、新人が大活躍しているのだ。 「度会は甘いマスクでトークも上々。アイドル的な人気を博しそう。ただ、いい評判ばかりでもないようで……あのチャラさが、チーム内で浮きつつあるというのです。あまり調子に乗っていると牧秀悟(25)ら怖い先輩にシメられるかもしれませんね(笑)」(球団関係者) DeNAとは対照的に、投手陣が盤石な中日は中田翔(34)や中島宏之(41)、上林誠知(せいじ)(28)らの加入で課題だった打線に厚みが増し、「今年はいけるぞ!」という雰囲気に包まれているという。 「立浪和義監督(54)のPL時代からの盟友、片岡篤史さん(54)が今季から一軍ヘッドコーチになったのも大きい。去年は”落合チルドレン”のコーチが残っていて、彼らを慕う選手もたくさんいた。だからチーム内で衝突が多かった。それなのに立浪監督にモノ言えるコーチは和田一浩さん(51)ぐらい。それが、”教え魔”と賛否両論あった立浪監督が、今季はコーチ陣におおよその指導を任せていますからね。野手は兄貴肌の中田翔がまとめていますし、先発陣には精神的支柱の大野雄大(35)がケガから復帰。Aクラス入りは十分狙えると思います」(球団関係者) 「キャンプの評価は50点」「戦えないよね」「うまくいかないことって沢山ある」と開幕前からヤクルト・高津臣吾監督(55)のボヤキが止まらない。 「エースの小川泰弘(33)と次期エース候補の奥川恭伸(やすのぶ)(22)が揃って開幕絶望。守護神の田口麗斗(かずと)(28)もコンディション不良でずっとファームでしたから無理もない(笑)。監督はチームを”ヤ戦病院”化させた犯人探しに躍起になっているようです」(前出・夕刊紙デスク) 3月17日にはパンチ力が魅力の内山壮真(21)がコンディション不良で二軍落ち。「(離脱者が)毎日二人ずつぐらい出てる」と今日もボヤキは止まらない――。 昨季2位ながら、話題に乏しい広島。主砲の西川龍馬(29)がFAで抜けたうえ、ほぼ総とっかえした助っ人がパッとしないのがその理由だが、「これは松田元オーナー(73)の新井愛が招いた惨事」だとスポーツ紙広島番記者は分析する。 「打率は低かったですが、デビッドソン(32)はチームの本塁打王。ターリー(34・現楽天)とアンダーソン(30)も、中継ぎとしてそれなりの成績を残していた。ところが、松田オーナーは”新井貴浩監督(47)のためにもっといい選手を獲れ”と号令をかけた。それがこの体たらくで、当のオーナーは『悪いことをしたな』とヘコんでいるそうです」 “おっさんずラブ”が招いた悲劇を乗り越えるためにも、期待の大砲・田村俊介(20)のブレイクを期待したい。 「100打点カルテットの再来もあるのでは?」と報道陣に水を向けられると、大きく頷いてから王貞治会長(83)は「やはり、野球は点取りゲームですから」と返した。それぐらい、山川穂高(32)の打棒をソフトバンクは欲していた。入団会見で袋叩きにされないよう福岡のメディアだけが間に合うようにリリースを出したり、野手陣のリーダー・柳田悠岐(35)が”どすこい”パフォーマンスを披露するよう山川を促したり、球団を挙げて彼をバックアップしたのがその証左だ。 「キャンプイン直後の2月2日にロングティーでいきなり75発。翌日のフリー打撃では25スイングで13発のサク越えを披露。一番の懸念だったファンから拍手が送られると小久保裕紀監督(52)がすかさず、『彼は救われたんじゃないですか』とフォローしていました」(球団関係者) オープン戦ではわずか22打数で2発。近藤健介(30)、柳田と組む強力クリーンナップの一員としてバットで恩返しできれば、V奪還はグッと現実味を増す。 対するオリックスにとっては、ソフトバンク打線を封じることが4連覇に不可欠。その点、絶対エース・山本由伸(25)が抜けた穴はとてつもなく大きそうだが、「ポスト山本は3人もいる」とスポーツ紙オリックス番記者は強気なのだった。 「筆頭が山下舜平大(しゅんぺいた)(21)。もうね、積んでいるエンジンが違う。大谷翔平(29)や佐々木朗希(22)クラスの圧倒的な馬力で山本由伸よりも上です。去年のドラ1の曽谷(そたに)龍平(23)は能力の高さに惚れ惚れします。サウスポーで速球は150km/hオーバー、変化球も含めてバランスがよく、計算できる投手。オープン戦最初の登板では無失点ピッチングを披露しています。 あとは高卒2年目の齋藤響介(19)。投球フォームもスタイルも山本由伸にソックリですでに”2世”と呼ばれています。似てないのは、控えめすぎる性格くらい。この3人の他にもエース候補はいます。椋木(むくのき)蓮(24)は、速球が155km/h近く出てキレもある。ルーキーイヤーに9回2死までノーノー投球をやってのけたように、ポテンシャルはオリックス投手陣の中でも随一です」 中嶋聡監督(54)が「みんなピッチャーピッチャー言うけど、打つほうやろう」と言う通り、投手王国は安泰。広島から西川を獲得するなど打線強化も怠らない。今季もVに最も近いと言っていい。 オリックスに遜色ない先発陣を誇るのが西武だ。昨年のドラフトで3球団が競合した左腕・武内夏暉(なつき)(22)を獲得。先発陣はさらに強化された。だが、前出の藤本氏は「FA移籍した山川の人的補償で甲斐野央(ひろし)(27)が獲れたのが、今季最大の補強」と見ている。 「160km/hの剛球を武器に昨季は46試合に登板して3勝1敗2セーブ、8ホールド。防御率2.53。中継ぎにモロさがあった西武投手陣の弱点をキッチリ埋めてくれるでしょう。見逃せないのが、彼のムードメーカー的資質です。入団会見で『俺にはラテンの血が流れている』と豪語していたように、とにかく明るい。早速、ヘタなスペイン語でガンガン、助っ人に話しかけていました。有形無形の力をチームに与えてくれるはずです」 今江敏晃新監督(40)より、楽天は球団の身売りのウワサのほうが話題になっている。元コーチは「星野仙一時代から警鐘を鳴らしていた」と嘆いた。 「仙さんはよく『俺がチームを日本一に導いていなかったら、とっくに三木谷浩史オーナー(59)は身売りしていただろうな』と言っていた。『とにかくプロ野球球団はカネがかかる。そこにオーナーは辟易としていた。俺が止めてたんや』と。冗談だと思っていましたが、仙さんが逝った翌年から、監督は4代続けて内部昇格など球団内での人事異動。今江監督の推定年俸は2000~4000万円と格安。そこにきて身売りのウワサが出てきた。士気に影響しないか心配です」 日本復帰後、ファンの期待を裏切り続けている田中将大(35)が「神の子」再びの快刀乱麻でチームを2度目の日本一に導く――という感動ストーリーを実現できれば、オーナーの情熱に火をつけることができる……かもしれない。 ベンチ裏で様々な想いが交錯するプロ野球は3月29日、幕を開ける。 『FRIDAY』2024年4月5・12日号より
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