【ホンダCB400Four回顧試乗】中免ライダーの憧れ「ヨンフォア」は初の4気筒400ccモデルだった
パワフルではないが不快な振動のない4気筒と、好バランスな運動性能
CB400フォアのパワー特性は、6000rpmを超えたあたりから回転の上昇が速まり、7000rpmから上で本領を発揮する。レッドゾーンを無視するなら、1万1000rpmまでは実用になるはずだ。パワフルではないが、全域にわたってフレキシブルなうえ、不快な微振動のないのにも好感がもてる。近ごろのスーパーエンジンには、ちょっと気づかないほどの、しかし長く乗ると不快な振動を発生するものが少なくないのだ。 ハンドリングはCB500フォアの高バランスを受け継いだニュートラルなものだが、86年の標準レベルと比較すると立ちが強く、特に前輪は軽快に向きをかえてはくれない印象ともなる。かといって特別難があるわけではないから、そこそこの効きを示すフロントディスクを駆使すればワインディングロードを十分楽しめよう。こうした場合、6段ミッションは有効だ。4段しかないCB72などでは、登りでギヤがつながらないことおびただしく、それだけで走る気を失ってしまうのだ。 アメリカでの400ccツイン人気にも影響を受け、コストのかかる4気筒エンジンをもつこのMCは、低コスト、ハイパフォーマンスを実現したホークに道を譲った。しかし、70年代のホンダ中型クラスの中で、現在最も人気のあるモデルは、ほかならぬCB400フォアなのである。 <CB400Four各部の紹介> ■エキパイ:最大のチャームポイントがこのエキゾーストシステム。排気脈動効果を考えれば、このような集合方法は理にかなわないのだろうが、しかし美しい。当時の2輪専門誌上では、この部分を強調した写真がもっぱら使われたものだ。 ■エンジン:SOHC エンジンは350フォアベースながら、左側ではクラ ンクケースカバーが2重ライン入りになり、チェンジペダルリンケージ用の逃げも付けられ外観もかなり異なる。そのほかフィンの枚数なども微妙に異なる専用の意匠を採用 ■メーター:左に速度計、各種警告灯のパネルを挟んで、右に回転計 ■フレーム:点火コイルやエアークリーナーの配置を含め、タンクを外してのルックスは350フォアと同じの、プレス製のメインフレーム ■フロントブレーキ:フロントのシングルディスクは、214mm径ローターに片押し1ピストンキャリパーの組み合わせ ■リヤまわり:リヤサスのストロークは、本来のユニットでは79mm。 リヤのドラムブレーキは160mm径のシングルカム ■排気システム:4-1エキゾーストシステムは、1番と3番のエキパイのみが取り外せるという変則的なもの ■車体バリエーション:1976年発売の398ccモデルから用意された、セミフラットハンドル仕様のFOUR-I(上)と、アップタイプのスタンダードハンドル仕様のFOUR-II <CB400Four-I/II主要諸元>※( )内はII ■エンジン 空冷4サイクル並列4気筒OHC2バルブ ボア・ストローク51×48.8mm 総排気量398cc 圧縮比9.4 燃料供給装置:キャブレター京浜PW20 点火方式バッテリー/ポイント 始動方式セル/キック ■性能 最高出力36ps/8500rpm 最大トルク3.1kgm/7500rpm ■変速機 6段リターン 変速比1速2.733 2速1.800 3速1.375 4速1.111 5速0.965 6速0.866 一次減速比3.423 二次減速比2.235 ■寸法・重量 全長2050 全幅705(780) 全高1040 軸距1355 シート高790(各mm) キャスター26°30′ トレール85mm タイヤF3.00-18 R3.50-18 車両重量183(184)kg ■容量 燃料タンク14L エンジンオイル3.5L ■価格 32万7000円 文●佐藤康郎 写真●金上 学 編集●モーサイ編集部・阪本