【ホンダCB400Four回顧試乗】中免ライダーの憧れ「ヨンフォア」は初の4気筒400ccモデルだった
量産4気筒車を定着させたホンダが放った、末弟の400ccモデル
※本記事は別冊モーターサイクリスト1986年6月号「モーターサイクルメモリアル:ホンダドリームCB400Four」を再構成したものです。 【画像19点】70年代の400cc人気名車CB400フォアに迫る! 1969年8月に発売したCB750Four(※以下フォアと表記)で量産4気筒車を市場に定着させたホンダは、その拡大を狙ってより排気量の小さい同系車を計画した。その第一弾が、2年後の71年4月に売り出されたCB500フォアだった。このMCは48ps/9000rpmを発揮する使いやすいエンジンはもとより、当時の国産車中ベストハンドリングと評されたバランスのよさもあって、非常な人気を博した。 4気筒シリーズは好調なシリーズ展開をしていたのだ。次の目標は当然350ccである。現在でこそ免許制度によって400ccがひとつの区切りになっているが、1970年代前半までは、レースの排気量区分そのままに、250ccと500ccの中間といえば350ccと相場は決まっていたものだ。 というわけで、CB350フォアは72年6月に発売された。500フォアがクラシックな造形とマルチシリンダーをうまくマッチさせて、デザイン面で高く評価されたのを踏み台としたのだろうか、350フォアも実に落ち着いた感じに仕上げられていた。 そして走りもまたしかりだった。別の表現をすればかなり遅かったのである。もちろん。のんびりと流す際の小排気量4気筒ならではの、軽く、バランスのよいエンジンフィーリング、またフラットな特性による乗りやすさなど、このMCの美点はいくつかあった。だが若者の排気量ともいえるこのクラスで、そうしたものは通用しなくて当然でもあった。そこで次に打ち出したホンダの作戦は実に見事なものだった。カフェレーサー調に衣がえさせたCB400フォアの登場である。
カフェレーサースタイルに4into1マフラーで一躍人気を獲得したヨンフォア
74年当時の国産車アルバムを見ればよくわかるが、CB400フォアのデザインは一頭地を抜いたものであり、2サイクルを含めた性能比較でもトップクラスにあった。ザッパー的なアンバランスな魅力ではなく、トータルバランスに優れたスポーツモデルであり、売れて当たり前ともいえた。 70年代前半の400ccクラスの性能といえば、今日の200km/hオーバーなどというとんでもない速さとは比べものにならず、速いものでも160km/hも出ればよいほうで、0-400m加速も14秒台が当たり前だった。今回CB400フォアに乗って最も印象に残ったのが、この点だった。 オーナーの許しを得て、レッドゾーンの1万rpmまで回してさえ、昨今のスーパースポーツを知るものにとっては、ちっとも速い気がしないし、エンジン内部のフリクションも少なくない感じである。データの点からはもちろん、実際の路上でも並の4輪などより確実にパワフルな走りを見せてくれるにもかかわらずだ。もっとも、1980年代後半の400cc、いや250ccでもTZRやCBRなどは、普通の場所ではめったに全開にできないのだから、考えようによってはこれで十分なのである。