【卓球】スウェーデンにメダル2個を持ち帰った、モーレゴードが世界中に見せた「卓球のラケットの形は自由」というルール
卓球のルールには材質の規定はあるが、形状と重量のルールはない
パリ五輪卓球競技でスウェーデンが2000年のワルドナー(銀メダル)以来のメダルを獲得した。22歳のトゥルルス・モーレゴード(卓球メーカー表記はトルルス)が男子シングルス2回戦で優勝候補の王楚欽(中国)を破り、準決勝では世界ランキング6位(対戦時・現在3位)のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)に勝ち、決勝進出を決めた。団体戦でも活躍してシングルスと団体の2個のメダルを持ち帰り、スウェーデン国内では大いに卓球が盛り上がっているとのこと。 モーレゴードは2017、19年の世界ジュニア選手権で準優勝を果たすなど、スウェーデンの期待の星だった。しかし、彼を卓球界でさらに有名にしたのは2021年世界選手権ヒューストン大会(アメリカ)だろう。卓球界のカリスマ、ティモ・ボル(ドイツ)などの強豪を撃破し、決勝に進んだ。しかも、その右手には今まで誰も見たことのなかった「奇妙なラケット」が握られていた。 世界選手権でのモーレゴードの活躍はその「不思議ラケット」とともに卓球ファンに大きな印象を与えた。これは一般の人には届かないニュースだった。もちろんオリンピックでしか卓球を見ない人は世界中にいるし、パリ五輪でも男子の日本対スウェーデンの試合が放送され、2番の張本智和対モーレゴードの試合映像が流れ、「あれ? 相手が持っている変な形のラケット」「あれは卓球ルールでOKなの?」と一般の人が感じたのも無理はない。ニュースサイトでも「あのラケットは違法ではないのか?」という記事も掲載された。 卓球のラケットには形状のルール規定はない。唯一、ラケットは木材、もしくは85%以上が木材で製造されなければいけない。形状、重量、大きさの規定はない。バドミントン、テニスなどの他のラケットスポーツではすでに木材の時代は終わり、カーボン、テキサリウム、アルミニウム、チタンなどの金属が使われている。テニスは1970年代、バドミントンは80年代から木材から金属系に変化しているのだが、卓球だけは頑なに木材ラケットを守っている。 もちろんラケットのおかげだけでモーレゴードがメダルを獲れたのではない。それよりも誰も挑戦しないような、固定観念にとらわれない自由な発想と、創造的なプレーこそがメダル獲得の理由ではないだろうか。 (全文は卓球王国に掲載)