ピムコ傘下REITが所有するNYのビル、債務残高下回る価格で売却
(ブルームバーグ): パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)傘下の不動産投資信託(REIT)、コロンビア・プロパティー・トラストが所有するマンハッタンのオフィスビルが、ブラックストーン・モーゲージ・トラスト(BXMT)からの借入額を約6%下回る価格で売却された。ニューヨーク市の不動産市場の動向を垣間見ることができる貴重な事例だ。
19日の発表によると、ビルの所有者であるコロンビア・プロパティーとパートナー企業のキャノン・ヒル・キャピタル・パートナーズは、ブロードウェイ799番地のビルを不動産投資運用会社のサバンナに2億5500万ドル(約390億円)で売却した。
売却は貸し手であるブラックストーン・モーゲージ・トラストの管理下で行われた。同社は12階建ての同ビルが完成した直後の2022年に、約2億7000万ドルの借り換え融資を行った。 事情に詳しい関係者が匿名を条件に述べたところによると、買い手は全額を現金で支払う。
BMXTの広報担当者は電子メールで「これは当社の投資家にとって素晴らしい成果であり、減損資産を簿価よりも高い価格で売却するという当社の戦略的優先事項を実現したものだ」と説明した。
コロンビア・プロパティー・トラストの広報担当者は即座にコメントすることはないとし、キャノン・ヒルの広報担当者はコメント要請にすぐには応じなかった。
MSCIのデータによると、ニューヨーク市のオフィス物件の価値は21年末から今年9月末までに35%下落した。市全体で空室率は依然として高く、金利上昇により家主がコストを賄うのが難しくなり、より多くの不動産が売却に追い込まれている。
設備の整った新しいビルは比較的影響が少ない場合が多いが、価格急落は多くの所有者や貸し手の計算を狂わせた。
「不動産自体に問題がないのに評価額が下がったことで債務超過に陥る場合がある。ブロードウェイ799番地はまさにそのケースだ」と、サバンナのトマス・ファレル最高執行責任者(COO)は語った。