棚橋弘至 社長就任から半年で10の指針発表「期待には期待以上で応えたい」
新日本プロレスの棚橋弘至社長(47)がこのほど、就任半年を迎えて記者会見を行った。会見には木谷高明オーナー、松本仁司取締役社長室長が同席した。 棚橋社長は10の指針を次の通り発表。 (1)若手の抜てき、新人の発掘 (2)チャンピオンベルトの価値向上 (3)乱入や介入の阻止 (4)ユニットが増えて勢力が弱まっている本隊への有志の結集 (5)スターダムとの関係強化 (6)米AEWとの関係強化 (7)チケットの価格帯、券種の検討 (8)ニュージャパンワールド(配信)の改善 (9)個人情報管理の強化 (10)協賛営業の強化 (2)について、棚橋社長は「IWGP世界ヘビーを頂点としたヒエラルキーがしっかりあって、そこを目指していくという形が団体として健全だと思うので、ベルトの意義づけを見極めていこうと考えている」とした。 木谷オーナーは「2017~19年ごろの新日本プロレスが非常に盛り上がっていた時代は7タイトルだった。現状は14ある。長年見ていただいているコアなファン、熱心なファンの方でも、14の現役チャンピオンの名前を言える人は非常に少ないのではないか」と王座の乱立を憂慮し、「(タイトルが)増えることによって挑戦者もある程度固定化してしまう」と弊害を指摘。ベルトの価値の向上には「1年半ぐらいかかる」との見通しを示した。 (3)について、棚橋社長は「新日本プロレスで今、そこが一番ファンの皆さまがイライラしたりとか、ヘイトがたまっているところなので。(批判は)公式にも、僕個人にも来ている。なんとかしてくれという声はしっかり届いている」と、介入や乱入の常態化がファンのストレスになっていることを認めた。 プロレスは反則が5秒以内なら認められ、その曖昧さが魅力になる場合もままある特異なスポーツだが、棚橋社長は現状を「ただ痛めつけたりとか、試合をぶち壊したりとかするだけという反則になっている」とみており「反則であっても見極めは必要」とした。 木谷オーナーも、反則は「プロレスの味」としつつも、「今、不景気で成長率もマイナスになっているところで、税金は上がって物価も上がって給料はそれほど上がらないという状況の中で、日頃ストレスを抱えている中で、プロレスでもまた抱えるのかというのが、今来ている一番の、お客さんからの不満の根底にあるところだと思う」と、現状が時代に即していないとの見方を示した。 その上で「プロレスは人生の縮図であったり世相を反映していたり、他のスポーツではない、他のスポーツでは薄い部分もすごく表現しているスポーツだと思っているので、その部分は消さないように、なるべく魅力を最大限出せるようにしたいと思っている」と話した。 (5)について棚橋社長は、5月25日のAEWラスベガス大会に出場した際、木谷オーナーとともにAEWのトニー・カーン社長と会談したことを説明した。 現在、AEWとは友好関係を築く一方で、オカダ・カズチカ、ウィル・オスプレイら主力の移籍も続いている。 木谷オーナーは「『子会社になったんじゃないか』とか『下請けか』みたいなふうに言われているのも事実。円安と不況もわれわれにとって非常にビハインドになっている」と認めつつ、「非常にいい関係が作れる。現状もそうだし、さらに進化していくと考えている。彼らのいいところとこちらのいいところは違う。お互いに共同でやることもいろいろあると思っている。そこはぜひ期待してほしい。決して子会社でも下請けでもない。あくまでも対等な立場で付き合っていく。それはこれから証明させていただく」と、心配は杞憂(きゆう)だとした。 就任半年を迎え、木谷オーナーは棚橋社長の評価について「社内の雰囲気が明るくなったとか人が物を言いやすくなったところは、非常に成果が出ているのではないか。実務的なところは1年、本当の意味での一周をしないとなかなか難しいと思う。来年の今ごろにはかなり社長然とされているのではないかと考えている。チームの目指す方向を示したり、チーム内を活気づけることが非常に大事だと思うので、そこに向かって進んでいると考えているので、僕は大きく評価している」と話した。 棚橋社長は「全部がほとんど初めての経験という中で、持ち前のスポンジのような吸収力で、まず現場で集中する。家に帰ってその日あったことを頭の中で反すうして、次はもっといい形にしようということを繰り返しやって来られたので。木谷会長に期待をかけていただいたので、期待されることはとてもうれしいので、期待には期待以上で応えたい」と意気込みを示していた。