満員電車のリスクは? 専門家会議が示した日常生活の考え方とは
●早期に“芽”を摘む
安倍晋三首相からの要請もあり、大規模イベントの自粛が続く中で、「いつ、どう再開していくか」にも関心が集まっています。 この日の見解では、不特定多数が参加するイベントについて「感染拡大のリスクが高いだけではなく、クラスターが発生したときに感染源の特定や接触者調査が困難になる」と指摘しました。 専門家会議は、感染拡大のスピードを抑制する方策の一つとして「クラスターの発生を防止する」ことを重視しています。しかし、不特定多数が参加するイベントの場合は、クラスターを早期発見して、手がつけられなくなるほど感染が拡大する前に“芽”を摘むのが難しくなることへの懸念があります。 このため、イベント主催者に対しては「参加者を把握できている方が感染拡大のリスクを下げられる」と提言しています。 イベント時に感染拡大リスクを下げるポイントとして(1)換気を励行する(2)人の密度を下げる(3)近距離の会話や発声を避ける――などを挙げるとともに、咳エチケットや手洗い、共用品を使わないなどの基本対策も推奨。国立感染症研究所の脇田隆字所長は「イベントは今のところ引き続き『3条件』について検討していただき、どうやったらリスクを下げられるかを考えて開催を検討してほしい」と呼びかけました。
●長期化&再流行も
国内で初感染が確認されてから2か月。新型コロナウイルスの流行は、今後どうなっていくのでしょうか。 専門家会議は、日本の現状について、感染者が日々増加しているものの「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないか」との見方を示しています。 一方で、感染拡大は今やアジアだけではなく、欧州や米国にも広がっており、「国内での流行をいったん抑制できても、しばらくはいつ再流行してもおかしくない状況が続く」と見込んでいます。「国外から感染が持ち込まれる事例も今後繰り返される」とも予想しています。 9日の見解では、「社会・経済活動の維持」と「感染拡大防止の対策」とのバランスにも触れました。感染拡大が収束に向かった地域では、感染リスクが比較的低い活動から徐々に再開していくなど、両者のバランスを長期にわたって取り続けていく対策が求められるといいます。 東邦大学医学部の舘田一博教授は「長期戦」になる覚悟が必要だと国民に訴えました。 「インフルエンザのように暖かくなると消えるようなウイルスではない。新型コロナウイルスとの戦いは数か月から半年、年を超えて、戦い続けていかないといけない」 一人ひとりの心構えとして、「医療崩壊の状態になって重症の人を診ることができないことが起きない」ように、ある程度元気な軽症の人は自宅で様子をみてほしいと話しました。また感染しやすい行動や場所は分かってきているとして、前述の3条件を踏まえた行動や手洗いや咳エチケットの徹底などを求めました。