韓国に警告したフィッチ「弾劾事態長引けば信用下方リスク」(1)
国際格付け会社のフィッチ・レーティングスが尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾審判に対する憲法裁判所の宣告が出るまで韓国経済が高い不確実性に置かれるだろうと懸念した。短期的に国の格付けに直接的な影響を及ぼしはしないだろうが、長期化する場合には下方リスクとして作用しかねないと警告した。ただ韓国が高い水準の回復力を持っているだけに不確実性が緩和されれば次第に安定すると予想した。 フィッチのジェレミー・ズック氏とフィッチ傘下研究院BMIのキャロライン・ウォン氏は23日に中央日報の書面インタビューでこのように話した。フィッチはS&P、ムーディーズとともに3大国際格付け会社と評価される。 ◇国の格付け、短期影響ないが…「長期化時には下方圧力」 ズック氏は「(尹大統領に対する)弾劾訴追案可決により政治的不確実性を一定部分減少させたが、憲法裁判所の宣告が出るまでは高い状態を維持するだろう。高い政治的不確実性と政策見通しの不明確性により投資が萎縮するリスクは依然として存在する」と明らかにした。 今回の事態ですぐに韓国の格付け(AA-/ステイブル)に影響を及ぼしはしないだろうとズック氏は強調した。彼は「基本的に政治的混乱が国の格付けを裏付ける制度的質や対外経済安定性を損ねはしないだろう。政治的不確実性が金融市場の肯定的な流れに影響を及ぼすことはあるが、韓国銀行と企画財政部の先制的な政策対応のおかげで下方リスクは緩和されている」と話した。 問題は政治的・政策的不確実性が長期化する場合だ。ズック氏は「政治的危機が長く続いたり、分裂によって政策決定の効率性と経済成果、財政が弱まる場合、格付け引き下げリスクが大きくなるかもしれない。韓国経済は世界的な貿易保護主義、人口構造変化などの構造的な挑戦課題に直面しているが、政治的膠着状態が持続し政策効率性が落ちれば問題解決が困難になりかねない」と明らかにした。 追加補正予算の要求が大きくなり財政負担が増える懸念も出ている。韓国政府が「財政健全性」と「景気浮揚」というジレンマに置かれるほかないということだ。企画財政部によると昨年の一般政府(D2)負債は1217兆3000億ウォンで、国内総生産(GDP)比50.7%を記録した。 ズック氏は「高い財政赤字が続き政府負債が増える傾向が維持される場合、中長期的に(格付けに)下方圧力を加えることになる。政治的状況が経済に予想より大きな影響を及ぼせば公共財政支出拡大に対する要求が大きくなる可能性があり、これは拡張財政への転換を招くことになる」と指摘した。ウォン氏も「(4兆1000億ウォン減額された)修正予算案が韓国経済を後押しするための追加補正予算の必要性を浮上させるかもしれないが、財政健全性回復を遅くする恐れがある」と懸念する。