四千頭身・後藤、M-1と距離を取ってた「また頑張りたい、3人だからこそできる漫才を」
四千頭身のツッコミ、後藤拓実が『安心できる男』(中央公論新社)を上梓。書籍出版に際してコラムとネタとの違いから、漫才賞レースの最高峰『M-1グランプリ』との向き合い方まで話を聞いてみた。(前後編の後編) 【写真】著書『安心できる男』を上梓した四千頭身・後藤 今年のM-1グランプリでにわかにお笑いファンを騒がせたのが四千頭身の“復活”だ。2017年のM-1グランプリ準々決勝進出をきっかけにお茶の間でもブレイクを果たしたものの、近年は結果を残せず。2020年以降は最高でも3回戦進出にとどまっていた。 そんな中、今年は鬼門の3回戦を突破し、4年ぶりに準々決勝の舞台へ。「3回戦落ちが続いてからM-1というものから距離を取っていた」という後藤だが、今年に関しては思わぬ反応に驚きすら覚えたようだ。 「今年も3回戦までだろうと思っていたら意外とウケが良くて。こっちが勝手に距離を取っていたんですけど、ちゃんと見てくれているんだと思いましたね。YouTubeのコメント欄は毎年散々なんですけど、今年は好意的なものが多くて嬉しかったです。こんなに嬉しかったんだと再確認したし、今はまたM-1を頑張りたいです」 ネタ作りに関しても「細かいところを気にしたり、時間をかけるようになりました」と後藤。静かで集中できる図書館に身を置きつつ、これまで以上に「3人だからこそできる漫才」にフォーカスしたという。 「これまでは石橋から逃げていた部分がありました。使わない笑いみたいな、そういうのを残しつつ…ですね。ボケは多いほうが面白いと思うし、掛け合いを増やすと威力も変わってくる。これまではコンビでもできるネタもあったんですけど、今はトリオ漫才でしかできないことをやるのが武器なのかなと思います」 トリオでM-1グランプリ準決勝まで進んだのは2019年の四千頭身が最後。「トリオでは1位と自分で言っていた時期を思い出した」と失いかけていた自信を取り戻しつつある様子。一方で、『安心できる男』の中に残る過去の自分に対して、苦々しい感情があることも隠さない。 「当時は芯の尖り具合が違うし、嫌なコラムが多かったです。変な自信を感じる。あの頃の自分が書いていると思うと、気持ち悪い。書いている僕だから感じてしまうだけなのかもしれないですけど」