対日本に4連敗も「必ずカムバックする」米国をプレミア12決勝の舞台へと駆り立てる“ベースボールの国の威信”
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って・侍ジャパン編 ◇21日 「ラグザス presents 第3回 プレミア12」 2次リーグ 日本9―1米国(東京ドーム) ◆プレミア12、各国のチアリーダー【写真】 米国代表のマイク・ソーシア監督は、大谷がエンゼルス入りした2018年の監督として知られているが、21年の東京五輪でも米国代表を率いている。当時は新型コロナ禍で無観客。準々決勝で対戦した侍ジャパンは、9回に追いついた。 延長10回は無死一、二塁からのタイブレーク。5番から始まった表の米国は、犠打ではなく強攻を選択した。栗林(広島)が3人で抑え、8番からの日本は、当然1点を取りにいった。代打・栗原が難しい犠打を1球で決めた。ソーシア監督は空いた一塁を敬遠で埋めるのではなく、外野手を内野に回し、5人態勢でしのぐ策に出た。甲斐(ソフトバンク)が手薄な外野に打ち返し、サヨナラ勝ち。どちらがいい、悪いではなく、米国はベースボール、日本は野球。互いに貫いた結末に思えた。 大一番を劇的な勝利で飾ったあの夜、浮かれるどころか危機感に満ちていた言葉が、今も僕の耳に残っている。 「試合が終わった瞬間のアメリカの選手…。全員の目がつり上がっていたんです。次はもっとタフな戦いになる。そう思っていかなきゃ」 当時は内野守備・走塁コーチだった井端監督である。トーナメントではないノックアウトステージを米国ははい上がり、決勝で再戦した。本気の米国に、日本も受けることなく攻めた。5投手による継投で6安打完封。ホスト国として、悲願の金メダルを獲得した。 あれから3年。有観客での大会を「本当に楽しみにしていた」ソーシア監督だったが、継投が乱れて大敗を喫した。 「われわれには素晴らしい選手がそろっている。このような負け方をしてしまったが、その後に気持ちを切り替えることが大事。われわれは必ずカムバックする。目標は金メダルなんだ」 監督として3連敗。昨春のWBC決勝も含めれば、対日本に4連敗。ベースボールの国の威信にかけて、決勝の舞台に戻ってこようとするはずだ。もちろんあの試合のように、全員が目をつりあげて。
中日スポーツ