埼玉・蕨の「ヤクザアパート」の大家が逮捕…近隣住民が明かす「ヤバすぎる実態」と長女が語った「母の過去」
「彼女によって救われた人がいた」
夜逃げ後に飲食店を営み子供3人を育てていた稲垣容疑者は、相続した西川口の実家を売却して、40年ほど前から不動産賃貸業に乗り出した。彼女と20年以上の付き合いがある地元不動産会社の役員はこう明かす。 「いまも蕨や川口の物件を買い漁っているのは、家賃収入を得ることで、子供や孫に不自由な暮らしをさせたくなかったからでしょう。どケチなことでも知られていて、稼ぎはあるのに質素な生活をずっと送っています。 よく『私は人と繋がっているのが好きなの』と言う人でね。子供も含めて、自分に関わる人たちを助けたい気持ちが非常に強いんです。一緒に車に乗っていると『あそこの店子が気になるから寄って! 』と様子を見に行くくらい。癖が強いから好き嫌いは別れるだろうけど、彼女によって救われた人がいることは間違いありません」 暴力団排除条例によって、暴力団など反社会的勢力に属する人が賃貸物件を借りることは不可能だ。たとえ「元」ヤクザであっても不動産の審査を通らないことがほとんど。結果的に社会復帰が難しくなり、犯罪に手を染める人は後を絶たない。長女がこう続ける。 「警察から連絡が来たときは、理性より先に情が立って『困った入居者を守らなきゃ』と電話をしてしまったのでしょう。社会的に許されないことはわかりますが、母らしいなと思いました」 どこにも入居できずに行く当てのない者に、稲垣容疑者はかつての自分を重ね合わせていたのかもしれない――。 「週刊現代」2024年6月22日号より
週刊現代(講談社)