埼玉・蕨の「ヤクザアパート」の大家が逮捕…近隣住民が明かす「ヤバすぎる実態」と長女が語った「母の過去」
「おばちゃんを悪く書くな」の声も
このように、稲垣容疑者は近隣住民からの評判が悪い。「家賃収入欲しさに、反社でもアパートに入れるから治安が悪くなった」というのが彼女に対する共通認識だった。 ところが、入居者に話を聞くと印象はガラリと変わってくる。住人である中年男性はこう語る。 「昭和にいたような世話好きなおばちゃんですよ。店子(入居者)が痩せていたら『しっかりご飯食べてるの? 』と世話を焼いてくれたり、家賃の支払いが遅れると『ちゃんと仕事はしてるの? 』と心配してくれる。90歳を超える独居老人の面倒を見ていたこともあったそうです。確実に家賃を得たかったという側面もあるだろうけど、それだけではないでしょう。 仲介会社などは通さず、すべての入居者と自分で直接会って契約しているようです。ヤクザや反社の人が住んでいることで批判されているけど、契約時に『ヤクザです』なんて言う人はいないでしょう。誰にでも部屋を貸していたら、そういう人種の住人が増えただけじゃないかな」 近隣住民とは打って変わって、総じて彼女の評判は良い。それどころか「おばちゃんを悪く書かないでほしい」と懇願したり、すごんだりする人が目立つ。 別の入居者はこう話す。 「ばあちゃん(稲垣容疑者)が反社と繋がりがあるなんて言われているけど、とんでもない。ヤクザに対して『ここに車を止めるな! 』と激怒しているのを見たことがあるし、『ヤクザだったら出て行ってな』と入居者にも言っていた。それでも前科者、生活保護を受けている人、借金で首が回らない人など、普通の不動産の審査では通らないワケありの人間には優しくしていた印象だね」
長女が語った「母の過去」
取材拒否で断られるケースが大半ではあったが、話を聞けた入居者の半数近くは脛にキズを持っているように見受けられた。 稲垣容疑者の所有物件の近くには、ある暴力団が事務所を構えている。話を聞いてみると組員がこう応じた。 「稲垣さんは敷金も礼金も取らない。決してカネ儲けのために人をたくさん入れているだけではないと思う。たとえば、俺たちのシノギはテキ屋だ。決して覚醒剤なんか扱わない。 罪を犯さず真面目に仕事をしているのに、世間は『暴力団だから』とシャットアウトする。稲垣さんは、社会からあぶれた俺たちみたいな人間の受け皿になっていることをわかってほしい」 近隣住民からは「反社の片棒担ぎ」と糾弾され、入居者からは「昭和の人情おばちゃん」と評される稲垣容疑者。なぜ、彼女は誰彼構わずアパートに入居させるのだろうか。 蕨市内にある稲垣容疑者の自宅を訪れたところ、長女が取材に応じた。 「よく素性がわからない人であっても次々と入居させてしまうので、私が懸念を伝えたこともあるんです。それでも母は『大丈夫、私が責任を取るから! 』の一点張りで聞いてくれませんでした。 他人には理解しがたい信条ですが、母の過去が深く影響していると思います。かつて母は、幼い私たち子供3人を連れて夜逃げをしています。女手一つで私たちを育てるなかで、誰からも手を差し伸べられずに辛い思いをしたはず。だからこそ、ヤクザだろうが半グレだろうが、困った人が近くにいたら助けたくなるのでしょう」