「働くことで自分が強くなる」10年ぶりに就労めざす女性 孤立してリタイヤの繰り返し…「心や体に困難があっても自立して生活したい」 就労支援する現場 制度の現状と課題は
■課題は「定着率」
今回の実習、実は受け入れを持ちかけたのは企業側です。一定規模の企業には障害者の雇用が義務付けられていて雇用率は段階的に引き上げられ2024年度は2.5%、2026年度には2.7%に。 加えて、労働力不足に、働き方の多様化と企業を取り巻く環境も変化しています。 こちらの店舗では2024年度、障害者5人の求人枠を新たに設けました。 綿半パートナーズ人事ユニットジョブコーチ・川元千恵美さん: 「(障害者雇用は)社会貢献の一つではあると思いますが、企業側も視野を広げるのに大切なことだと思っています。(それぞれの)特性によって苦手なこともあるが、できることを伸ばしていきたい。すごく前向きに働いてくださっているので、やりがいを感じてもらえるのは企業側もうれしい」 えりさんの働きぶりはー。 綿半パートナーズ人事ユニットジョブコーチ・川元千恵美さん: 「まじめな方だなと感じています。逆に、それががんばり過ぎてしまうところが彼女の課題かと感じているので、ここは彼女の仕事、ここは違う人の仕事と明確に指示しないと、恐らく全部やりたいタイプかな。それは指示する側が明確にすると継続して働けるのかなと思う」
「就労移行支援」で大きな課題となっているのが定着率です。就職1年目では精神障害で49.3%、発達障害で71.5%などという調査結果があります。 人間関係や労働条件などで壁にぶつかることも多々ありますが、こうした実習は企業・利用者双方が歩み寄る場にもなっていると言います。 ファシリカ長野・戸谷林太郎さん: 「うまくいかなかったときには(スタッフが)一緒に謝ったり、一緒に(行動を)修正をすることを通じて、社会の中でどう生きていったらいいかを気づいてもらったり、(それまでの)自分の価値観を修正しながら社会の中でうまく生きていってもらえたらいい」
■「働くことで自分が強くなる」
スタッフの開拓もあって実習に協力する企業や店舗は現在13社。地域でも、少しずつ理解が広がり始めています。 6月から協力しているサロンではー。 カフェ×ビューティーサロン「ロビナ」・竹ノ内寛紀代表: 「いい意味で(受け入れ前に)思っていたことと違った。こちらでサポートが必要なのかなと思っていたんですが、全くそんなことはなくて。仕事に慣れてくると自発的にいろんなことをやってもらって助かっています」
事業所の開所から1年。最近は、就職にこぎつける利用者も出始めました。市村さんはまず事業所に寄ってもらい人間関係をつくるところから始めてみてはと話します。 ファシリカ・市村元一代表: 「それぞれが自分の人生を自立して歩いていくためのお手伝いをします。『大人の塾』だと思ってください、という言い方をいつもしています」 10年ぶりの就労を目指すえりさんはー。 就労移行支援を受ける・えりさん: 「働きたい。(働くことは、自分が)強くなる力、やる気、原動力、力ですかね」
長野放送