グーグルがOpenAIの後塵を拝した理由

写真:現代ビジネス

一方で、こうした創業者モードは現在進行形の研究テーマでもある。 グーグルやマイクロソフト、アマゾンなど、いわゆるビッグテックの多くは現在恐らくマネージャー・モードに属するであろう。これらの巨大企業は毎年数千億ドル(数十兆円)に上る収益を稼ぎ出すなど申し分のない業績をあげている。 しかし、ここ数年IT業界を席捲した生成AIの開発においては、これらビッグテックはOpenAIなど一部スタートアップの後塵を拝している。そもそも生成AIのベースとなる「トランスフォーマー」技術はグーグルが開発したものだが、同社は主力の検索エンジンを温存するあまり、そうした画期的技術の商品化で遅れをとった。 この隙をついてトランスフォーマーをいち早く製品開発に導入し、世界的ヒット商品となるChatGPTを実現したのは創業から僅か数年のOpenAIである。こうした事例を見ると、やはり創業者モードの方がマネージャー・モードに勝っていると感じられる。 ニューヨークタイムズなど米国メディアの報道によれば、OpenAIはChatGPTをリリースした2022年末からこれまでに1000名以上を追加採用し、現在の従業員数は1700人以上。同社は現在、65億ドル以上の資金調達を計画中で、それが実現すれば同社の評価額(企業価値)は約1500億ドル(21兆円以上)に達するという。この額はイーロン・マスク氏が創業者・CEOを務める宇宙開発企業スペースXを上回る。 今後、OpenAIが巨大企業へと成長する過程で創業者モードを維持できるかどうかは、その成否を占う重要なケース・スタディとなるだろう。 ……・・ つづく記事『ロボ・タクシーの「クラクション」がうるさくて眠れない！…いま米国で起きている「新たな騒音問題」が浮き彫りにする「自動運転ビジネス」の現状』では、アルファベット傘下の「ウェイモ(Waymo)」が運営する自動運転タクシーをめぐる奇妙な騒音問題について、詳報する。