小学生には「算数ドリル」がどうしても必要な訳 機械的な作業に思えても重要な意味がある
東大教授で渋滞学の第一人者である西成活裕先生は、「小学校の算数のテストで80点でも安心してはいけません。ここで間違えていたところが中学校以降でつまずくきっかけになりやすいからです」と言います。本稿は『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく算数を教えてください!』から一部抜粋・再構成のうえ、算数の本質について、文系ライターの郷和貴氏との会話形式でお届けします。 ■子どもに算数を教えるのは難しい! 郷さん:西成先生、お久しぶりです。高校物理を教えていただいてから数年も経ってしまいましたね。
西成先生:その間、アメリカに住まわれていたと編集者さんから聞きました。娘さんは何歳になられました? 郷さん:もう7歳ですよ。 西成先生:おお。じゃあ、このシリーズをはじめたときの郷さんの狙い、「娘に数学を教えたい!」はいよいよ実現しているんじゃないですか? 郷さん:いやぁ……それが。 西成先生:あれれ。 郷さん:小学校低学年なら余裕だろうとなめていたんですけど、むしろ難しくないですか? 娘から「なんでこうなるの?」みたいな質問をされると、「素晴らしい着眼点!」と感心する自分と、「そこ突っ込むかぁ……」と面倒くさがる自分がいる(笑)。算数って、それ以上、話をかんたんにできないことが多くないですか?
西成先生:わかります。自転車に乗れるから自転車の乗り方をわかりやすく伝えられるかといえばそうではないのと同じで、算数を教えるのはかんたんではありません。 ■算数と数学の違いから見えてくるもの 郷さん:最初はやっぱり「なんのために算数を学ぶのか」ですね。娘もよくわかっていない気がするんです。「学校で教わるもの」「毎日宿題としてでるもの」。それ以上でも以下でもない、みたいな。 西成先生:なるほど。じゃあ、目的からいきましょうか。まず算数と数学の違いから説明しますけど、わざわざ科目の名前を分けていますよね。