玉城知事訪米/現地取材で見えた成果と特徴は?/沖縄の主張をワシントンで「種まき」
常々、日米の安全保障体制を支持する立場を強調してきた玉城知事ですが「自由で開かれたインド太平洋」に言及するのは異例。その狙いは次のように説明します。 玉城知事「政府間の合意については、基本的には承知はしているけれども軍事力や抑止力に頼る外交であってはならないということ。抑止力を向上することは、平和外交とバランスをとって行うことが重要であるということを県からは(日本)政府に申し上げていると説明」 知事の訪米前、ワシントンで別の動きをしていた県内の首長がいました。与那国町の糸数町長です。8月下旬から9月上旬、日系のシンクタンクの招きでワシントンを訪れ、南西諸島の防衛力強化の重要性を訴えています。 玉城知事のアメリカ訪問活動が本格始動した、9日。共和党に影響力が強いとされるハドソン研究所。知事と対談したワインスタイン日本部長は、こう切り出しています。 ワインスタイン氏「先週、与那国町長がワシントンを訪れ与那国島の国防における核心的な役割について話をした。あるいは与那国島と台湾の関係についてあなたは台湾有事が起きた際の沖縄での人道的リスクをどう考えるか。自衛隊と米軍は日本の国防のために、あるいは沖縄の安全のためどのような役割を演じると思うか。台湾での有事について」 知事はこのように切り返しました。 玉城知事「台湾有事は日本有事という言葉が危ういぐらい独り歩きしているのではないかと思う。不安定な関係を、安定する関係に移行すべきである。安定する関係を維持するために地域間の交流を進めるべきと日本政府にも中国政府にも県の考え方として伝えている」 アメリカでの活動最終日は、ニューヨークの国連本部訪問。中満次長と面談し、北東アジアの情勢について幅広く意見交換したといいます。 玉城知事「中満次長からは先日、国連の会議で中国と韓国を訪問し、北東アジアの緊張感の高まりを感じてきたことの紹介があった。沖縄県の地域外交は、対話で地域の緊張緩和と信頼醸成を目指す。素晴らしい取り組みでぜひ広げてほしいと言葉をいただいた。アジア太平洋地域で良好な関係を国同士が構築することを希望しながらも我々が行動しうることは全力で取り組んでいきたい。それがそれぞれの地域で幅広くいろいろな方々の意思に繋がり意思を受け取った方々が具体的に行動できる環境を目指して取り組むべき。それに向かって頑張っていきたい」 玉城知事は、アメリカ訪問で政府や議員のみならず、有識者や学生そして国連にも、沖縄の基地負担の現状を訴えました。地域外交が沖縄の現状を変える力となりうるのか。その真価が問われます。