【日本市況】円が下落、日銀総裁のハト派姿勢変わらず-債券上昇
(ブルームバーグ): 25日の日本市場では円相場が1ドル=157円台前半に下落。日本銀行の植田和男総裁が午後の講演で、先週の会見に続き追加利上げに慎重なハト派姿勢を示したと受け止められた。債券は上昇。株式も上昇に転じて終えた。
植田総裁は、金融緩和調整のタイミングやペースは今後の経済・物価・金融情勢次第だと説明した。米国の政策運営が日本の経済・物価に与える影響もよく見ていく必要があるとも述べた。アジアの主要市場が休場で流動性が低い中、円は前日終値を挟んだ小動きが続いていたが、総裁発言を受けてこの日の安値を更新した。
みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストはリポートで、講演は19日の内容を踏襲したものが中心だったと指摘。市場の一部で会合後に進んだ円安をけん制するメッセージが強まることへの期待があったが、そうしたコミュニケーションも特段取られなかったとした。
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=157円台前半で推移。植田総裁が講演で、トランプ次期米政権の影響や春闘の見極めを指摘したことを受けて円売りが優勢となった。
ドイツ証券の小川和宏外国為替営業部ディレクターは植田総裁の講演について、金融政策決定会合後の会見とあまり変わらないと指摘。「引き続きハト派という印象で、相場は小幅に円安に振れている」と述べた。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、植田総裁は円安にもかかわらずハト派姿勢が変わらないため、為替を懸念していないと受け止められてもおかしくないとみる。「クリスマス明けからの円売り再開で、年末までに160円を試す可能性は十分ある」とし、介入警戒感も強まりそうだと語った。
債券
債券相場は上昇。植田日銀総裁の講演はハト派だった19日の会見と大きく変わっていないとの見方から買われた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、植田総裁は米経済を巡る不確実性が大きいことや、目先の大きなポイントとして春闘を挙げていることから、「利上げは来年1月は見送り、早くても3月以降との見方を変える必要ない」と述べた。