Xおすすめ欄、見たくない投稿に「疲れちゃう」 SNSに救われた作家がハッシュタグを作ったワケ
2023年夏に「X」へと変わった「Twitter」。変更後も多くの人が使っているSNSですが、タイムラインのおすすめに流れてくる投稿に違和感を持つ人もいます。1月、Twitter時代から作品を投稿してきたあるクリエイターが、「最近Xのおすすめ欄に誰かを批判するような投稿たくさん流れてきて疲れちゃう」とポストしました。ハッシュタグ「#ワクワクで楽しいツイートでいっぱいにしよう」をつくって作品を投稿したところ、多くの共感が集まっています。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】実際のポストはこちら Xのおすすめ欄に「疲れちゃう」
おすすめ欄の投稿に疲れて…
投稿したのは、洋菓子ブランド・ヨックモックの「シガール」やカステラなどを本物そっくりに木で再現する木彫りアーティストのキボリノコンノさん(以下コンノさん)です。 1月9日、Xについてポストしました。 ”最近Xのおすすめ欄に誰かを批判するような投稿たくさん流れてきて疲れちゃうから、今こそみんなで明るく楽しいツイートして、しょうもないことで笑ってたクリエイティブなTwitterに戻したい!!” ──キボリノコンノ さん(@kibori_no_konno)のXより 投稿にはハッシュタグ「#ワクワクで楽しいツイートでいっぱいにしよう」と、木が伸びているように見える作品を添えました。 「平和なツイートでほっこり」「笑顔を引き出すポスト」「こういうのを待ってました」といったコメントが寄せられ、1万以上の「いいね」がついています。 その後「珍しくタグを作ってみました。みんなのワクワクを見せてください!!」と投稿。 クリエイターを中心に多くの人がハッシュタグ「#ワクワクで楽しいツイートでいっぱいにしよう」をつけて自身の作品や推しの作品などを投稿しています。
うつ病だった自分を救ってくれた
「XがまだTwitterだったころ、僕はその存在に救われていました。でも、いまは誰かを傷つけるツールに変わってきている気がしました」 2021年からSNSに木彫り作品を投稿してきたコンノさんは、そう話します。 当時、激務だったことに加え、コロナ禍のためストレス発散だった卓球ができず、体調不良で船酔いのような症状が続いていました。その後、病院でうつ病と診断されたといいます。 休職中、ストレス発散になるような「新しい趣味」として軽い気持ちで木彫りを始めました。 Twitterに投稿すると多くの「いいね」をもらい、ユーザーとの交流につながったといいます。 「うつ病だった僕にとって、SNSで人とのコミュニケーションが広がったことが救いになっていました。Twitterでのコミュニケーションに助けられ、徐々に朝起きたときの気持ち悪さやめまいが減って、仕事に復帰したいという意欲もわきました」 クリエイター仲間も増え、みんなのワクワクする投稿を楽しんでいたコンノさんでしたが、Xに変わってから「あまり楽しくないツイートを見かけるようになった」と感じているそうです。 投稿のインプレッション数(表示・視聴回数)に応じて、有料版の一部ユーザーに収益が配分される仕組みが導入されたことも影響していると考えています。 フォローしているアカウントの投稿以外も表示される「おすすめ欄」には、以前は自分の興味のある情報が集まっていましたが、最近では「全く興味がなく知りたくないことでも、バズったら表示される」と感じるそうです。 声を上げるべきときは声を上げ、批判が必要なときもあるということは理解しています。 一方で、能登半島地震後にはデマが相次いだり、芸能人のスキャンダルや誰かを攻撃するような投稿があったり、見ようと思っていなくても目に入る投稿に気持ちがめいったといいます。 「自分もいつかたたかれるのではないかと思ってしまい、投稿するのが怖くなってしまいました」 コンノさんの投稿へ寄せられる一部のリプライにも不信感を募らせます。 「投稿がバズると、収益のためにインプレッション数を稼ぎたいアカウントから、別の人のコメントをコピーしたようなリプライがつきます。うれしい内容のコメントをいただいても、同じ文面が並んでいるとどの人が最初にそのコメントをくれたのか分かりません」 ときに投稿とは関係のないリプライや、ネガティブなワードが並ぶこともあるといいます。 「別の投稿へのコメントをコピーしてつけられているのかもしれません。リプ欄を見るときも緊張して身構えてしまい、ストレスになっています」