32歳高卒で「年収340万円」は低いですか? 大卒の友人は「800万円」ほどもらっているそうです。都内住みで生活がカツカツなのですが、転職すべきでしょうか…?
将来や老後のことを考えるとき、今の年収で足りるのかと不安を感じることはよくあることではないでしょうか。特に物価の高い都市部で暮らしていれば、日々の生活すら厳しく感じていっそ転職しようかと考える人もいるでしょう。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? 転職サイトの中には「転職で年収が倍増!」というようなうたい文句もよく見られますが、転職することが必ずしも良い選択とは限りません。 本記事では「生涯賃金」という視点から、高卒の男性が転職によって生涯賃金がどのように変化するか学歴や職種も交えて比較しながら、生涯賃金をアップするためのポイントなどについて解説します。
生涯賃金って何?
生涯賃金とは「1人の労働者が生涯にわたって得る賃金の総額」のことです。生涯年収と呼ぶ場合もあり、一般的には学校を卒業した後に就職して定年退職するまでの賃金を指します。 昨今は働き方が多様化しており、転職、非正規雇用(アルバイトやパートなど)やフリーランス、副業、再就職、定年後も働くなど、個々人の職業人生のあり方によって生涯賃金は変化します。
転職は生涯賃金を下げる!?
転職によって生涯賃金がどのように変化するか、一般的な傾向を検証してみましょう。 独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2022」によると、男性で大卒・総合職(管理・事務等)が、1つの会社で働き続け1度も転職せずに定年を迎えた場合と、転職を1度してから定年を迎えた場合とで生涯賃金にどの程度差が出るかを試算したところ、転職をした場合はしない場合に比べて約4%生涯賃金が減少するとのことです。 転職時の年齢により減少率は異なり、25歳であれば1.0%ですが、35歳で4.9%、40歳で5.6%、45歳で5.7%と、中高年になるほど減少率は上がります。 同条件の人で1つの会社で定年まで働き続けた場合の生涯賃金(同一企業型)は、約2億8000万円と試算されています。減少率4.9%の場合、生涯賃金が約1372万円も少なくなってしまいます。 転職による生涯賃金の減少率は、1989年の統計では約12%となっており、年々縮小しているようです。しかし転職で生涯賃金が下がるという一般的な傾向に変わりはありません。「転職で年収倍増」というのは、思いのほか難しいのかもしれません。