<村瀬歩>「時光代理人」第2期インタビュー(2) 巧みな演技の裏側 新人時代からの地道な積み上げ
村瀬さんが「キャラクターに向き合う上で、忘れないように大切にしている」という演技への姿勢は、新人の頃に学んだものだ。
「最初の頃は『みんなどうやってやってんだろう?』みたいな(笑い)。格好良く声を出したい、可愛い声を出したいというところから始めちゃったんです。それも大事なことではあって、全部が全部普通にしゃべってしまうと、それなら声優さんがやらなくてもよくない?と思ってしまうので、格好良く、可愛く決める、必殺技がスコーンとハマるというのは大事だと思います。その上でキャラクターが生きているようにしゃべっている感じを大事にしたいなと。そのためにやらなくてはいけないことは、10年くらいかけて何となく分かってきて。自分の居心地のいい場所が分かってきたっていう感じですかね」
村瀬さんは、初めて主演を務めた作品の音響監督の影響が大きいと語り、台本の読み方を一から学んだという。
「それまではずっと感覚でやっていて『なんか怒ってる』『なんか楽しそう』でせりふを言っていたのですが、それでは一貫性がなくなってしまう。感情も地続きなので、急にバーン!と声を出したとしても、その前に心の中の動きがあって、そのせりふが出てくる。そういうことを音響監督さんに教えてもらって、『あなたはまずきちんと台本読めるようになりなさい』と。最初の頃は、台本を1冊読むのに3、4日かかっていました。『この話は何を伝えたい話なんだろう?』と考える作業をして、地道に積み上げて、トライアンドエラーを繰り返して、すごく成長させていただきました」
最後に今後の目標を聞いた。
「僕は、ありがたいことに『こういう役をやりたい』と思った役はやらせていただいているので、そうじゃない役をやってみたいという思いがあります。今回のような男女の双子ですとか、自分の想像の範疇(はんちゅう)にとどまらない感じの役でお話をいただけたら、すごくうれしいというか。そういうところで覚えていただける役者になれるように頑張りたいなと思っております」