<村瀬歩>「時光代理人」第2期インタビュー(2) 巧みな演技の裏側 新人時代からの地道な積み上げ
村瀬さんは、一つの作品でさまざまな役柄を演じ分けることに難しさを感じながらも、「すごくやりがいを感じた」と語る。
「基本的に掛け合いは人と人が相手のエネルギーを受け取りながらやっていくんです。この作品では、兄のティエンチェンと妹のティエンシーが二人で話すシーンもあって、掛け合いを自分の中から生まれてくるもので成立させなきゃいけない。自分で“発電”して、それを自分が受け取って、さらに渡して……みたいな感覚で脚本を読んでいるのがすごく不思議で、これはすごく取り組みがいのあることだなと思って。めちゃくちゃありがたい機会だなと思いました」
◇脳の動きまで意識して演じる 「キャラクターが生きているように」
「時光代理人」の双子の兄妹役もそうだが、村瀬さんはほかの作品でも少年から青年、女性の役までさまざまなキャラクターを演じてファンを魅了し、巧みな印象が強い。声優としてどのように作品、キャラクターと向き合っているのだろか。
「作品レベルで言うと、原作がある作品は原作をちゃんと読むことを大事にしています。オリジナル作品の場合は、分からないことが多いので、それを分からないままにしない。『どういう意図でやりたいのか?』『どういう演出にしたいのか?』というのは、自分の中で行き詰まったらスタッフの方に聞くようにしています。お話を聞いて、その上で自分で咀嚼(そしゃく)する。皆さんの土台がある上で自分が演じさせてもらっているという意識は忘れないようにしています」
キャラクターに関しては、人間の脳の動きも意識しているという。
「人間の脳はすごいので、例えば、理路整然と人と話していて、そのことに集中しながらも、『きょうの晩ご飯、何にしよう?』と考えたりとか、思考の中にチリとかホコリみたいなものがあると考えていて。自分が演じるキャラクターの会話に、そのチリやホコリが要るのか、要らないのか?と。全部なくしてしまうと、本当にただしゃべっているだけになってしまうから、そういう“余白”があるキャラなのか、どうかなのか?と考えます。あとは、キャラクターの目的というか、何のためにそのせりふをしゃべっているのか。ストーリーが流れていくために必要なアシストなのか、それとも場の空気感を成立させるために必要なのかとか。最終的に迷ったら『この人、何したいの?』というところに立ち返るというか」