「韓国の約73%が核保有が必要と認識」「自国防衛のアメリカへの全面的依存は極めてハイリスク」...韓国の第一人者が「日本と韓国の早期の核保有が必要」と訴える理由
先週8月23日、日本で画期的な新著が発売された。タイトルは、『日韓同時核武装の衝撃』(ビジネス社刊)。従来のタブーを破って、日本と韓国に対し、早期の核兵器保有を促す内容だ。昨年、韓国で出版して話題を呼んだ『なぜわれわれは核保有国にならなければいけないのか』を邦訳、新たに日本の読者に向けて加筆した。 【写真】えっ、まさか…全米が驚愕!ハリスの衝撃的すぎる「ドレス姿」…! 著者は、韓国で北朝鮮研究の第一人者である鄭成長(チョン・ソンジャン)世宗研究所朝鮮半島戦略センター長(60歳)。鄭博士は2年前、「長女の金珠愛(キム・ジュエ)こそが、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の正統な後継者」と、世界で初めて公言した西側の北朝鮮専門家として知られる。現在は、韓国で核保有を求める団体「韓国核安保戦略フォーラム」の代表も務めている。 そんな鄭成長博士と20年以上の知己で、同書の「推薦の辞」も執筆した本誌コラムニストの近藤大介が、日本語版の出版を記念して、緊急オンライン対談を行った。 ※
韓国国民の7割が「自国の核保有は必要」
近藤:鄭成長博士、このたびは『日韓同時核武装の衝撃』の出版、おめでとうございます。いまからちょうど一年前に、原書の韓国語版を送っていただき、一気呵成に読破したことを思い出します。 「北朝鮮が核兵器開発に邁進していて、もはやそれが止められない現在、韓国も同様に核保有国を目指すしか道はない」――この極めてシンプルな主張に、当時の私は、正直言って戸惑いもありました。しかし韓国でこの本は大変好評で、「核保有に向けたバイブル」となりましたね。 そんな話題の本の日本語版が、日本の読者向けに加筆されて刊行され、大変嬉しく思います。 鄭:ありがとうございます。日本語版の「推薦の辞」を書いていただき、近藤さんには感謝しています。 日本ではまだ、「自国の核保有」について、正面から理論立てて書かれた本はほとんどないと聞いています。そのため私の本を、今後「日本の核保有」を議論する際の叩き台にしていただければと思います。核保有の問題について、日本より一歩先を行っている韓国の実態や、韓国の専門家たちがいま行っている議論は、必ずや今後の日本の参考になると確信しています。 近藤:実は日本でも、まだ決して声は大きくありませんが、核保有論者は存在します。たとえば、故・中川昭一元財務相は、生粋の核保有論者として知られていました。また、故・安倍晋三元首相も、同盟国アメリカとの「核共有」(ニュークリア・シェアリング)を主張しておられた。 メディアの世界でも、私が薫陶(くんとう)を受けた日高義樹元NHKアメリカ総局長は、「少子高齢化が進む日本が将来的に生き残る道は核保有しかない」と主張されていました。 しかし日本には、周知のように「核アレルギー」や「非核三原則」など、高いハードルが横たわっています。自民党が結党以来の党是としている憲法改正の議論すら、一進一退というか、のらりくらりの状況です。 鄭:第二次世界大戦後に平和国家として歩んできた日本の事情は、よく承知しています。一方、韓国は、北朝鮮という「待ったなしの脅威」が眼前に存在します。そのため、最近、一部の市民団体が「核武装千万人国民署名運動」を展開するほど、国民の核武装要求がますます大きくなっています。今年1月に崔鍾賢(チェ・ジョンヒョン)学術院が発表した世論調査では、実に72.8%もの国民が、「自国の核保有は必要」と答えているのです。 8月12日に、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が次期国防長官(防衛相)に指名した金龍顕(キム・ヨンヒョン)氏も、「北の核の脅威が手に負えないと判断されれば、あらゆる手段と方法が開かれている」と発言しています。これは、韓国も北朝鮮と同様に核保有国を目指すことを示唆した発言とも受け取れます。