日本の当局は「円安ドル高」には介入も「円高ドル安」は容認 狙いは〝円高メリット企業〟だが…自動車大手株の動きは今一つ
【株式フジ】 「マルハニチロ」「日清製粉グループ本社」「ABCマート」など注目 ゴールデンウイークの金融市場の話題は為替市場(ドル円相場)でした。政府・日銀は4月29日に続いて、5月2日未明にも円買いドル売り介入を実施したもようです。介入のタイミングはNY市場引け後の日本時間早朝だったようです。 【ランキング】訪日外国人の都道府県別訪問率、トップとワーストは? 一時、1ドル=160円台まで円安ドル高が進行したものの、一転してドルが急落する展開となりました(153―154円台)。この動きからは、日本の当局は1ドル=160円を防衛ラインとして、投機的な為替相場の動きを押さえ込もうとしていることが読み取れます。 この局面で聞かれた「34年ぶりの円安水準」とは、1990年4月につけた1ドル=160円20銭を指すことになります。160円20銭は85年9月22日にニューヨークのプラザ・ホテルで開かれた先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)での合意(プラザ合意)近辺のドルの高値です。米レーガン政権がドル高政策からドル安政策に転じ、米国の輸出競争力を回復させる端緒となる合意でした。 その後、88年11月に121円台までほぼ一直線で円高ドル安が進行、一度160円まで戻ったあと、再び円高基調となり、95年4月に79円台まで円高が進行しました。 今回も日本の当局の介入を契機に、大幅な「円高ドル安」の動きとなる可能性があるとみています。日本の当局は「円安ドル高」には介入するものの、「円高ドル安」はまず容認するとみられ、投機資金がその方向に資金を投入する可能性があるからです。 その場合、株式市場で想定されることは「輸出型企業の業績不透明感台頭」です。とくに自動車株は見送られる可能性があります。ゴールデンウイーク明け7日の東京市場でも日経平均が反発する中で、「トヨタ自動車(7203)」、「日産自動車(7201)」、「ホンダ(7267)」など自動車大手株の動きはパッとしませんでした。 為替市場(ドル円相場)に関心が向き、およそ円高方向がイメージされる中では「円高メリットを受ける企業」に目を向けていくのが得策となりそうです。ただ、輸出型企業が多い東京市場では「円高メリットよりも円安メリット」が基本で、円高メリット株がそれほど多いわけではありません。
水産最大手で水産資源の多くを輸入する「マルハニチロ(1333)」、製粉最大手で食品、パスタ類にも強みを持つ「日清製粉グループ本社(2002)」、スニーカーなど靴小売り大手の「ABCマート(2670)」などに注目します。 (株式ジャーナリスト)