財産管理していた高齢姉妹から2000万円横領した疑い、介護施設元社長を逮捕…自宅を売却させ全財産奪ったか
マンションの女性清掃員が姉妹と世間話をした際、男が口座を管理していると知って不審に思い、同8月、清掃員の夫が市の地域包括支援センターに連絡。相談を受けた府警が捜査していた。施設は同9月に閉鎖された。
介護従事者の事件後絶たず
介護従事者が利用者の財産を狙うケースは後を絶たない。警視庁は今年1月、訪問介護先の高齢男性のクレジットカード情報を不正使用して玩具を購入したとして、元職員を窃盗容疑などで逮捕。北海道警も2022年10月、利用者のキャッシュカードで不正に現金を引き出した窃盗容疑で通所型介護施設の職員を逮捕した。
厚生労働省は高齢者虐待の一種として、金銭の窃取や財産の無断売却などを「経済的虐待」と定義。家族以外に介護職員が加害者になったケースでは、被害者数はピークの14年度(117人)から一時減少が続いたものの、20年度以降は50人台で高止まりしている。
被害を防ぐため、判断能力が不十分な高齢者らの財産管理や生活支援を、家庭裁判所が選んだ弁護士などに任せる「成年後見制度」があるが、被害に遭った姉妹は利用していなかった。
日本高齢者虐待防止学会の池田直樹理事長は「身体的虐待に比べ、経済的虐待の被害は見えにくく、把握された事案は氷山の一角だろう」と指摘。自治体による積極的な実態把握が必要だとし「要介護認定を判断する際、誰が資産を管理しているかチェックする項目を追加するなどの目配りが必要だ」と訴えている。