原日出子「私は割と演技が“憑依型”なんです」役を演じているときに気を付けていることとは?
唐橋ユミがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「NOEVIR Color of Life」。“生きること、輝くこと、そして人生を楽しむこと”をテーマにした、トークと音楽が満載のプログラムです。各界を代表して活躍する女性ゲストが、自らの言葉でメッセージを伝えます。 今回の放送は、女優・原日出子さんが出演。藤竜也さんとの40年ぶりの共演でも話題になった現在公開中の映画「大いなる不在」(近浦啓監督、森山未來さん主演)や、演じるときに気を付けていることなどについて語っていただきました。
1959年生まれ、東京都出身の原日出子さん。劇団四季の研究生として女優デビューを果たし、1979年に「夕焼けのマイ・ウェイ」で映画に初出演します。1981年、NHKの連続テレビ小説「本日も晴天なり」の主演に抜擢され脚光を浴びます。同年に歌手デビューし、「約束」「青いラプソディー」などの曲をリリース。これまで数多くのテレビドラマ、映画、舞台などで活躍。2019年には、映画「鈴木家の嘘」で「第33回高崎映画祭」最優秀主演女優賞を受賞しました。現在は、藤竜也さんとの40年ぶりの共演でも話題になった映画「大いなる不在」(近浦啓監督、森山未來さん主演)が絶賛公開中です。
◆不思議で愛しい映画撮影
唐橋:今回の映画の役どころで、原さんはどんなことを意識されましたか? 原:今作は、お互いに家庭を持ちながらも、また出会って一緒に暮らしている男女のお話で。老夫婦ですが、男女の愛とか恋慕、そういったものの積み重ねがしっかり描かれていて、その上に今のふたりの生活があることが、きちんと描かれている作品です。 なので「果たして、私がそこまで惚れられる人に見えるのか?」ということを心配しました(笑)。だけど、おかげさまで長年過ごした夫婦になれたんですね。そのことに藤さんも「すごく不思議だけど愛しい時間でしたね」とおっしゃってくださって。すごく嬉しかったです。 唐橋:愛しい時間って素敵ですね。原さんの舞台挨拶のコメントでは、「オファーをいただいたのは幸せなこと。よくぞ私を見つけて呼んでくださった。この作品に出演できたことに感謝」と綴られております。役作りについては演技プランがほとんどなくて、直美のままでいられたと書かれています。 原:余計な邪魔が何も入らないというか、私はわりと演技が憑依型なんです。「この人は家のなかだと、どんなふうに振舞うのかな」とか「夫にどんな視線を向けるのかな」とか、最初は想像ですが、そのうちに自然になっていく感覚に陥っていくんです。なので、あまり演技をしたという自覚がないんです(笑)。セリフはちゃんと覚えて喋るのですが、“その人でいる”時間(を過ごすというか)。 唐橋:そういう場合、役どころが重なったときはどうなりますか? 原:切り替えが大変なので、あまり重ねて仕事はしません。ただ、テレビをやっていると、そうも言えなくて、そんなときはなるべく切り離して考えます。 唐橋:一つずつ丁寧にされているんですね。 原:丁寧というか、いっぺんにはできないんですよね(笑)。そういうふうにやれた作品のほうが周りからの評価もいいですし、自分としての満足度も高いです。 (TOKYO FM「NOEVIR Color of Life」放送より)