子どもが「給食を食べているから安心」は危険 不足する栄養素も…あくまで1日3食のうちの一食で
給食に頼りすぎないことも大事
私が着目したのは、野菜や果物が不足するお子さんは穀類の摂取量も非常に少ないという点です。逆に野菜、果物をよく食べているお子さんは、穀類もしっかり摂れており、結果、バランスの良い食事が出来ていることがわかりました。 以上の結果からお伝えしたいのは、「給食を食べているから安心」と、給食に頼りすぎないようにしましょう、ということです。 どんなに学校給食の栄養価が優れていても、1日3食のうちのたった一食。例えば「牛乳や果物は給食で摂っているから、家では出さなくていいよね」というように、安易に外してしまうのは考えものです。 むしろ「給食を軸に、1日3食でいかにしっかり食べるか?」と考えないと、結果、子どもたちに必要なエネルギー量や栄養素が足りなくなります。 学校給食は、子どもたちの健康支援や食育をサポートするだけでなく、保護者にとっても、最高の食育の教材です。子どもたちが1日に食べられる量には限りがありますが、そのなかで何を食べなければいけないのか? どんな食材をどんな調理法で食べるとよいのか? 学校給食の献立にはそれらのヒントや情報がたくさん詰まっています。 まずは、ご自宅での食事も学校給食を参考に組み立ててみることをおすすめします。ちなみに、子どもたちに不足しがちと言われるミネラルですが、カルシウムは牛乳や小魚、青菜など、カリウムは果物や野菜、海藻類やきのこ類に含まれます。 何をもっと摂ればよいのか、少なくてもよいのかを見直すきっかけになるでしょう。
スポーツをする子どもにとっては「運動前の栄養補給」に重要な役割
最後に、スポーツを行うお子さんは、平日の練習やトレーニングは放課後や学校終了後に行うことがほとんどです。つまり、給食は「運動前の栄養補給」としての重要な役割も持っています。 動くためのエネルギーやそれを回すビタミン、汗で失われるミネラルの補給など、運動をするために必要な栄養素を給食で摂る必要があります。つまり、給食が練習のパフォーマンスを左右すると言っても過言ではありません。 「大きくなれるように、強くなれるように、給食もしっかり食べようね」と、子どもとの会話のなかで、さり気なく促してあげることも大切です。 吉谷 佳代 管理栄養士/公認スポーツ栄養士。江崎グリコ株式会社で健康食品開発や、スポーツサプリメントの研究開発に従事。その傍ら、多くのアスリート、学生スポーツ、ジュニアへの栄養指導、食育イベントに携わる。2013年に独立。以降、ジュニアからトップアスリートまで幅広い競技の選手に対し、栄養サポートを行う。現在、プロ野球・阪神タイガース、実業団女子バレーボール・JTマーヴェラスのチーム専属栄養士。過去には、シスメックス女子陸上競技部(2015~2020年)、Bリーグ・西宮ストークス(2014~2017年)、自転車ナショナルチーム(2013~2018年)をはじめ多くのプロ選手やジュニア選手の栄養サポート実績を持つ。 長島 恭子 編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。
長島 恭子 / Kyoko Nagashima