「会いに行けなくなったアイドル」の今 ライブ1回のチェキ収入100万円も――産業システムの「曲がり角」
記念すべきメジャーデビューで、無観客ライブ配信とネットサイン会に
記念すべきメジャーデビューのタイミングに、新型コロナウイルスが直撃したアイドルもいる。先月18日にメジャーデビューしたアイドルグループ「真っ白なキャンバス」は、CDショップでのリリースイベントが軒並み中止になった。プロデューサーの青木勇斗さんが語る。 「ファンの皆さんに用意していたコンテンツがごっそり抜けて、不安はありますね。ファンの皆さんと触れ合えない期間があるのは、メンバーたちにとっても負担になっていると思います」
そんななか、打開策の一つとして考えられているのが、無観客ライブの配信だ。何台ものカメラを使い、テレビの生放送さながらにスイッチングする。スマートフォンやパソコンで視聴でき、チャット機能でファン同士が会話もできる。 真っ白なキャンバスもメジャーデビュー当日に無観客ライブを配信した。 「レコード会社にコストを負担してもらって配信をして、ライブ後にインターネットサイン会をしたんです。お金が発生するコンテンツも開催して、なんとかマネタイズした感じです」 普段のサイン会の場合、アイドルとファンが一緒にチェキを撮影して、その場で歓談しながらサインをする。インターネットサイン会の場合は、まずアイドルだけでチェキを撮影。配信用カメラに向かってファンの名前を呼んで雑談をしながら、チェキにサインを書く流れだ。1枚は2000円からが相場。近距離で直接対面できる「特典」がないインターネットサイン会では売れる枚数が落ちるかと思いきや……。 「ネットだと、普段チェキが売り切れないメンバーも売り切れたりします。1時間の配信で、サインできるチェキは300枚前後ですね。サイン会のYouTube配信やチェキ配送をしてくれる会社に一定の割合をお支払いして、あとは僕らに入ってきます」 こう聞くと順調にも見えるが、アイドルを取り巻く現実を青木さんはシビアに見る。 「今後の見通しが立たないのがやっぱりしんどい。それは金銭面もそうだし、(アイドルたちが)お祭り騒ぎみたいに発表をできないっていうのが。本当はそこでメンバーの熱量がファンの皆さんに伝わっていくと思うんですけど、さらっとやらないといけないのが一番イヤだなと。みんなネットを見る時間は多くなると思うので、新しいMVを出したりして、『面白いな』って賛同してくれるファンの人たちが増えてくれれば……。もう一周回って、逆にチャンスって捉えないとやってられないです」