3500万の住宅ローンを組んだ「年収700万の夫婦」、“老後破綻の危機”に陥ったワケ
「繰り上げ返済し過ぎ」は禁物
伊藤さんのご家庭の事例からわかるように、とりあえず現在の家計の状況に余裕があるからといっても住宅ローンの繰り上げ返済をし過ぎることは禁物です。もちろん住宅ローンの繰り上げ返済だけにスポットを当てると、繰り上げ返済はしないよりもしたほうが、支払利息を軽減できて家計全体の支出を減少させることができます。 が、家計と人生を長期スパンで見ると、結果として繰り上げ返済が不合理になってしまうこともあるのです。 ポイントをまとめれば、本文でも紹介した「人生の三大支出」=「教育資金」「住宅資金」「老後資金」の支出のバランスが大切であるということです。 子どもが小さいうちは、さほど教育資金にお金がかからないので貯金ができるでしょう。そこで住宅ローンの繰り上げ返済をついつい頑張ろうと考えるご家庭が多いのですが、今回紹介したご家庭のように、行き過ぎた繰り上げ返済をすると今度は子どもが高校進学や大学進学のときにひずみが生じます。 さらにその教育資金のことばかり考えていると老後資金にも問題が生じて、老後破綻にもなりかねません。 ではどうすればいいのか…。 人生の三大支出である教育資金、住宅資金、老後資金の金額を明確にして、ライフプランシミュレーションを作り、どれくらいの金額がどの時期に発生するかをしっかり確認しておくことが重要です。 読者のみなさまも、住宅ローンの支払利息の軽減ばかりに気を取られすぎず、教育資金にどれぐらいお金がかかるのか、また理想とする老後の生活資金はどれくらいで公的年金がいくらもらえるのか、しっかり確認しておくようにしてください。 住宅購入前の方は、これらを踏まえいくらの物件までなら買えるのか、住宅ローンが借りられる金額ではなく無理なく返済できる金額を明確にしてから住宅購入計画を立てましょう。 大切なことは、人生にかかるお金のことを長期的な視野で考え、時系列で計画を立てておくことです。 さらに<3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」、繰り上げ返済をして「地獄を見た」ワケ>に記事も併せてご覧ください。
中村 賢司(ファイナンシャルプランナー)