3500万の住宅ローンを組んだ「年収700万の夫婦」、“老後破綻の危機”に陥ったワケ
どんな対策ができるか
家計が破綻してしまう場合、どのような対策を考えればよいのでしょうか。答えはいたって単純です。家計の収支を改善する方法は次の3つです。 ・支出の削減 ・収入の改善 ・資産の活用 まずは1つ目の対策「支出の削減」の一環として、生命保険の見直しを行いました。本当に必要な保障だけ残し、さらに保険料が割高だったので、同じ保障も保険料が安い保険会社を選び、入り直しました。そうすることで、支払保険料を月7.2万円から月5万円に削減、月々2万円も支出を改善することができました。 年間約24万円の保険料削減効果は10年で240万円、20年で480万円も家計収支をプラスに転じさせる効果があり、この保険見直しの効果は絶大でした。 そのほかに契約していた、積み立てタイプの子どもの学資保険は満期まで継続して、長男が18歳のときに250万円、次男が18歳のときに200万円の満期保険金は確保しました。これで大学進学の教育資金はある程度確保できたことになります。あとは、毎月のやりくりで保険料を2万円削減できたので、この資金を頑張って積み立てて、高校進学時の教育資金とすることにしました。 さらに2つ目の対策「収入の改善」の一環として、知子さんの収入を改善することを決めました。子育てのために勤務時間を減らし、家族との時間を優先させようとパートに職種変更をしていたのですが、家計が破綻する原因の最大の要因は、この知子さんの収入ダウンです。年収400万円から100万円に減少したことで、家計の収支は年間300万円(社保税金込み)も悪化していました。 幸い、働き方に融通が利く職場だったので、もとの正社員の雇用形態を希望すると、すぐに正社員に戻してもらえることが分かりました。知子さんの心のなかではいろいろな葛藤があったようですが、今後のことを考えた末、またフルタイムに戻ることにしました。
老後資金も足りない…
さてこれで一件落着かというと、これだけでは終わりません。 妻の収入アップ、生命保険の見直しによって、当面の家計破綻は免れることになりましたが、将来の老後生活が破綻することがわかりました。 お子さまが大学を卒業するまでの「教育資金」や、あと10年ある住宅ローン返済の「住宅資金」には問題ないような対策が作れたのですが、夫婦の「老後資金」にまだ問題が残されています。 ライフプランを見直す際、この人生の三大支出「教育資金」「住宅資金」「老後資金」をトータルで考えなければいけません。 ご夫婦は60歳で仕事をリタイヤすることを希望されていました。その希望を基にライフプランを作成していましたが、60~65歳の年金空白期間を乗り切ることができず、さらに公的年金だけでは生活できないことが判明。 そこでお二人は収入を増やす計画として、60歳以降も仕事を継続することにしました。お二人の職場は60歳の定年以降も65歳まで雇用延長で働くことができ、定年後は年収が減っても働ける環境があるので、65歳まで働くという計画を立てました。 この対策によって、老後も破綻することなく女性の平均寿命であるおよそ90歳まで金融資産残高がマイナスにならない資金計画を作ることができました。 今ではつみたてNISAやiDeCoにも興味を持たれ、今後は投資信託などでの資産運用も検討しておられます。