【MotoGP】ドゥカティ離脱が“現実的”になるプラマック、ヤマハサテライトチーム化に進む? マルティン離脱もきっかけに
MotoGPは2024年シーズンの開幕以降、ドゥカティのファクトリーシート争いが注目されてきた。そして第7戦イタリアGP後にマルク・マルケスがドゥカティ昇格となり、ホルヘ・マルティンはアプリリアへ移籍が決定。この動きによって、ドゥカティのサテライトチームであるプラマックが、ヤマハへ鞍替えする可能性が高まっている。 【動画】MotoGP2024 第7戦イタリアGPハイライト ドゥカティのサテライトチームとして密接な関係を築いてきたプラマック。彼らは2025年以降もドゥカティとの関係を継続するかどうかのオプションを行使するかどうかが、今注目されている。 かねてよりプラマックには、現在サテライトチームを持たないヤマハがアプローチをかけていることが分かっていた。ヤマハは2022年を最後にRNF(現トラックハウス)が陣営を離れてしまったことで、ファクトリーの2台体制での戦いとなっている。 そして2台体制は、苦戦から立ち直ろうとしているヤマハにとってはハンデとなってしまっている。8台体制のドゥカティがやっているように、サテライトチームと協力し、データを収集・分析し改善に役立てることが重要となっているため、2台体制にはデメリットが多いのだ。 ヤマハのマネージングディレクターであるリン・ジャービスは今年で退任するものの、今年達成しておきたい目標についてファビオ・クアルタラロの契約延長と、サテライトチーム確保を挙げていた。 「それ(サテライトチーム確保)はチャンピオンシップにとってベストであるだけではなく、ヤマハにとっても最善だろう」 「ムジェロ(イタリアGP)周辺で答えを得られるだろう」 ジャービスはアメリカズGPでそう語っていた。 そしてこうしたジャービスの動きが直接影響を及ぼしたわけではないが、アメリカズGPの頃から、プラマックとドゥカティの関係には懸念も生じ始めていた。 プラマックはドゥカティから唯一ファクトリーサポートを受けるサテライトチームとしての地位を、2年更新できるオプションを手にしていた。しかしドゥカティは最近MotoGPへの支出削減にかなり取り組んでおり、プラマックの代わりにVR46を据えるという選択肢を興味深いものだと考えている。 だからこそ、プラマックのオーナーであるパオロ・カンピノッティを悩ませているといえる。結果が出なかった頃から付き合ってきたチームが、ドゥカティからそういった扱いを受ける謂れはないと感じているからだ。 そしてドゥカティのゼネラルマネージャー、ジジ・ダッリーニャは先週末、Skyの取材に対して「プラマックを失うリスクは現実のものだ」と語っていた。 第7戦イタリアGPの期間中、プラマックのチームマネージャーを務めるジーノ・ボルゾイは2025年も2台のドゥカティのファクトリーマシンを揃えることを当然だと示唆していた。しかしドゥカティのスポーティングディレクターであるマウロ・グラッシーリは、ボルゾイの発言からわずか数時間後に、プラマックがまだオプションを正式に行使していないと明らかにしていた。 「我々はシーズン開幕から、さらに2年間続けるつもりで懸命に作業してきた。しかしまだ書面による確認は得られていない。できる限り早くそれを得たいと思っている」と、グラッシーリは語った。 motorsport.comの調べによると、プラマックとドゥカティの間の契約は7月末を期日に自動更新され、契約を破棄したいときにのみ、ドゥカティ側に通達することになっているという。そしてカンピノッティが前述のようなドゥカティの扱いに怒りを覚え、期日ギリギリまで態度を明らかにしないことがあっても不思議ではない。 さらに、プラマックはマルティンというトップライダーを失った今、カンピノッティがドゥカティでの継続よりも、ヤマハによるサテライトチーム化の提案を受け入れる可能性は十分に考えられる。 マルティン抜きでデスモセディチGP25を使うことは、カンピノッティにとって、これまでのように表彰台や勝利、タイトルを争うことのできないまま、多額の投資を行なうことを意味しているといえる。 そのようなシナリオが考えられる以上、投資に対して一定のリスクを感じても不思議ではない。そしてヤマハはサテライトチームを切実に必要としていることから、経済面ではドゥカティよりも遥かに有利な条件を提示せざるを得ない。だからこそ、彼らは今それを実行すべき時だろうとも言える。 一方でVR46は数ヵ月前から戦略を変えつつある。チームディレクターのアレッシオ・サルッチはドゥカティ陣営内でより重要な役割を担いたいと主張していたが、今では慎重さが彼らの原則だ。サルッチ、そしてチームマネージャーのパブロ・ニエトは、時間とドゥカティとプラマックの間の緊張が、VR46に味方するものだと知っているためだ。
Oriol Puigdemont