60年代風スポーツカーを作っていた会社が経営破綻 7000万円超の「マスタングEV」1台も納車されず
本家からライセンス供与 レトロなEVを生産
初代フォード・マスタングの現代的なEVモデルを生産していた英国のチャージ・カーズ(Charge Cars)社が、納車開始前に経営破綻した。 【写真】現代に蘇った初代マスタング【チャージ・カーズ社が販売しているEVを写真で見る】 (28枚) 同社はフォードからライセンスを受け、1967年型マスタングの設計を基に電動スポーツカー「'67」を開発し、35万ポンド(約7180万円)で販売していた。 しかし、バッテリー、モーター、制御システムを共有する予定だった兄弟会社アライバル(Arrival)社が2月に経営破綻し、そのあおりを受けた。 チャージ・カーズ社は声明の中で、「この困難な時期を乗り切るためにたゆまぬ努力を続けている。当社は、これが『'67』にとって終わりではないと心から信じており、軌道に戻るためにあらゆる手段を模索している」と述べた。 プロジェクトに近い関係者の1人はAUTOCARの取材に対し、'67は生産可能であり、間もなく納車が開始される見込みだと語っている。また、かなりの受注を抱えているという。 エンジニアからプロジェクト・マネージャーまで、約50人の従業員は全員解雇されると見られている。従業員らはSNSへの投稿で、会社の崩壊は「荒波」によるものであり、「誰のせいでもない」と主張した。 同じく英国を本拠地とするスーパーカーメーカーのマクラーレンは、チャージ・カーズ社の従業員に向けた求人ページを開設している。 AUTOCARは、同社とその破産管財人であるコーク・ガリー社にさらなる情報提供を求めている。 2023年10月、チャージ・カーズ社はフォードから1967年型マスタング・ファストバックの「デザイン」を使用する公式ライセンスを付与された。これにより、オリジナルのシルエットに忠実なボディパネルなどを自社生産することが可能になった。 4月には、外注にも対応した塗装工場を立ち上げた。デザイン・コンサルタント会社のカラム社やスポーツカーメーカーのBACなどがその顧客企業として挙げられる。 今後の資産管理や事業、'67の生産についてはまだ明らかにされていない。
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部