日本の老舗工場が贈る安全なベビー服製造:小倉メリヤス製造所の取り組み
ベビー服・子供服の縫製工場として、約半世紀にわたって生産を続けている小倉メリヤス製造所。日本国内では老舗に分類される歴史ある製造所のひとつだ。 ベビー服や子供服は、大人の洋服とは異なり、どこの縫製工場でも生産できるわけではない。殺菌や防腐などの目的で使われる刺激の強い物質「ホルムアルデヒド」の規制値が厳しく設定されているため、技術的にはベビー服が作れる工場があったとしても、ホルムアルデヒド管理がしっかりとできていなければ販売することはできないのだ。 小倉メリヤス製造所は、ベビー服・子供服だけでなく、工場で取り扱うすべての製品において、ホルムアルデヒドを含む素材・加工を扱わないことを徹底している。そのため、技術的な問題だけでなく、ホルムアルデヒド管理の面でも、ベビー服・子供服を安心して製造・販売できる体制を整えている。 今回は、代表取締役である小倉大典さんに対し、ベビー服・子供服製造における豊富な経験と製造のこだわりについてインタビューを実施した。
ベビー服・子供服製造は安全が第一
ー小倉メリヤス製造所が1929年に創業されてから、ベビー服・子供服の市場を開拓するに至った経緯について教えてください。 1929年の創業時は、東京の本所区(現在の墨田区)にて糸を仕入れて、丸編み機で編み立て、裁断縫製した紳士肌着を、創業者の祖父がリヤカーに積み、隅田川の両国橋を越えて、横山町(現在の馬喰横山駅あたり)に卸しに行っていたのが始まりになります。 当時の本所区は同様の工場が多く、今でもニット製造の一大産地として存続しています。そんななか、1963年、まだ当時は「ベビーウエア」というカテゴリーがなかった時代に、株式会社レナウンがピッコロというブランドを立ち上げ、その際に弊社を中核の専用工場に指定したことがベビーウエアとの出会いでした。 そこから2000年代前半まで、ベビー服・子供服の専門工場として生産を続け、2000年代後半からは、ベビー服・子供服以外のレディース・メンズ衣料なども生産するようになりましたが、今現在でもベビー服・子供服の生産シェアが高い縫製工場になります。