「息子の死を無駄にすることは許されない」若手医師が月200時間超の時間外労働で自殺…遺族が約2.3億円の賠償求め提訴「二度とこのような事が起こらないようにして」
神戸市の病院に勤務していた医師の高島晨伍さん(当時26)が自殺したことをめぐり、遺族が病院の院長らに損害賠償を求め大阪地裁に提訴しました。提訴後の会見で遺族の母・淳子さんは「息子の死を無駄にすることは許されない」などと話しました。 【画像を見る】メールには「休養せな全て壊れるかもしらん」 (母・淳子さん) 「晨伍が命を絶った令和4年5月17日、深夜に残された家族3人、私たちは床に膝と手をつき呆然とするばかりでした。あの日のことを決して忘れることはなく、今もフラッシュバックすることもあり、クローゼットを自宅でも開けることはできません。晨伍は甲南医療センターで働いていなければ、まだ私たち家族と一緒に時間を過ごし立派な消化器内科を目指す晨伍を応援していくことができました。そして患者さんのため責務を果たし後輩医師の指導を行っていたのだと思います」 「当初から、私たちは晨伍の自死に至った原因を知りたい、消化器内科内の実態を知りたい誠意ある報告があれば、個人を責めないと、申しました。しかし、月日の流れとともに、第三者委員会では納得いく対応がなされず、しまいには皆が誠心誠意対応をして作成された調査結果の開示も速やかにはなされない始末となり、今となっては全く連絡もなく、今どう病院が晨伍の死について考えているのかもわかりません」
「病院側の不誠実な対応に憤り、悲しみと失望」
さらに淳子さんは次のように話しました。 「ひとえに晨伍の死が無駄になり、晨伍の死が何もなかったようにされるのは、家族として許すことはできません。労災申請をすれば、労災認定がとれれば甲南医療センターもきっと前向きに変わってくれる、そう信じようとしました。ただ何ら対応は変わらず、刑事告訴も行い、それでも変わらず、やむなくメディアに対してこの窮状を訴えました。晨伍の死はもちろん一生忘れることのできない悲しみでしたが、病院が晨伍の死に対して全く責任はないとするその不誠実な対応に、死の悲しみを上回るのではないかと感じるほどの、憤りと悲しみと失望に苛まれました」