国民が検察を応援、正しい姿?自民党裏金問題で見えた「日本の民主主義の弱点」 ジャーナリストの神保哲生さんに聞く
―改正法は、裏金事件の再発防止の役には立たないのでしょうか。 「ガラス張りで公開されない『グレーゾーン』は残っています。水は低きに流れるものです。裏金がものをいう政治風土がある以上、政治家はいくらでも裏金をつくろうとするでしょう」 「しかし、裏金づくりのグレーゾーンを残せば、検察は『ここからは駄目だ』と恣意的に線を引くことができます。捜査当局が疑獄事件をつくれることになります。政治家は自分たちを脆弱な立場に置くことになるのです。だからこそ、政治家は法律をしっかりと作ってグレーゾーンをなくさないといけません。しかし結局、検察に対して脆弱になるリスクを取り除き、国民による監視を健全に機能させることよりも、金権政治を続ける道を選んでしまったということです。今起きているのはそういうことだと思っています」 × × × じんぼう・てつお 1961年東京都世田谷区生まれ。米コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。AP通信記者などを経て、現在、インターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」代表。 × × ×
【政治資金規正法】 (目的) 第1条 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。 (基本理念) 第2条 この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。 2 政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。