詐欺被害や自殺防ぐ 住民に感謝状、田辺署や白浜署、和歌山
特殊詐欺被害と自殺を未然に防いだとして、和歌山県の田辺署と白浜署がそれぞれコンビニエンスストア店員やタクシー運転手に感謝状を贈った。 【SNS型詐欺多発で注意呼びかけ 和歌山県警の記事はこちら】 ■来店客に声かけ コンビニ店員の松本さん 特殊詐欺被害を未然に防いだのは、みなべ町のコンビニに勤める松本偲甫さん(28)。 田辺署によると、10月5日、来店した70代の女性が「パソコンがウイルスに感染し、画面に表示された番号に電話すると、電子マネーカードを購入するように言われ、電話もまだつながっている」と話した。 松本さんが電話に出ると、明らかに外国人と思われる男性が片言の日本語で「電子マネーカードを買ってパソコンに戻ってきて」などと繰り返し話していたのでおかしいと思い、女性に電話を切るよう伝えた。その後、女性が田辺署に連絡したという。 松本さんは「詐欺ではないかと伝える時は緊張したが、未然に防ぐ力になれて良かった」と話した。 県警は特殊詐欺被害防止専用の無料相談電話(0120・508・878)を設けており、自分で行動する前に相談するよう呼びかけている。 ■乗客の命救う タクシー運転手の水本さん 自殺を考えていた乗客の命を救ったのは、白浜第一交通(白浜町)のタクシー運転手、水本和宏さん(70)。 水本さんは10月2日午後1時40分ごろ、白浜町堅田のJR白浜駅で30代女性1人をタクシーに乗せ、目的の「三段壁」に到着し女性を降ろした。旅行客としては軽装で、道中の車内で話しかけても返答が少なかったことから心配になり、すぐに白浜署に通報。女性を捜した。 通報で駆け付けた署員が柵を越えて崖先に向かう女性を保護し、自殺を未然に防いだ。 水本さんはタクシー運転手歴15年。女性がタクシーに乗車中、顔が見えにくい運転席の後ろに座ったまま一点を見つめていたことなどから違和感を抱いたという。「今後も注意を払いながら業務に当たりたい」と語った。
紀伊民報