年間600杯食べるラーメン通が今一番ハマっている、濃厚なのに後味さっぱり「中華そば」[FRaU]
食のスペシャリスト&グルメに精通する識者で構成される「FRaU Foodies」が、今イチオシの料理やスイーツなどをお届けします。今回は、年間600杯以上のラーメンを食べている森本聡子さんが登場。本当は教えたくないと言うほど、お気に入りの一杯を教えていただきました。
東京・押上で愛されてきた 町中華の味を受け継ぐ一杯
「あまりにもお気に入り過ぎてInstagramにも投稿したくなかったくらい……」 そう語る森本さんが教えてくれたお店は、東京・押上にある「中華そば 政好(まさよし)」。 もともとは、同地で「太楼ラーメン」という町中華を営んでいましたが、店主の逝去に伴い閉店。その後、奥様が店主となり、人気だったラーメンをメインに据えたお店として2022年10月にオープンしました。店名は、初代店主の名前から「政」の字を、奥様の名前から「好」の字をとって合わせています。 実はその初代店主が、プロレスラーのターザン後藤さん。電流爆破マッチをはじめ、大仁田厚選手と激闘を繰り広げた名選手です。それもあり「太楼ラーメン」は、地元民はもちろんプロレスファンからも愛されていました。 後藤さんの思いを受け継ぎ、ブラッシュアップしたラーメンを提供する「中華そば 政好」。奥様と娘さんが店を切り盛りしています。
「東京スカイツリーが見える最高のロケーションで、私がただいまどハマり中の“超タイパ仕事術”を実感できます。行列があってもスムーズに入店できるのは、店主が的確な案内をしてくれるから。そして、着席してから2~3分以内にラーメンが提供されます。母娘でラーメンを作る所作も美しく、見惚れているとあっという間に着丼。その速さをカウンター越しに体感するでしょう」
ラーメンは、醤油の「中華そば」一本という潔さ。誰にも教えたくないほどお気に入りの「中華そば」の魅力を森本さんが話します。
「スープは鴨を筆頭に5種類のガラを合わせたもので、生姜の風味がほんのり効いています。誰が食べても『お、おいしい!』『濃厚なのに後味はさっぱり』と唸ること間違いなしです」 5種類のガラは、鴨の胴ガラ、3種の鶏ガラ、豚ガラ。鶏を強めに豚でアクセントをつけ、味に奥行きを演出。カエシ、鶏油(チーユ)、胡椒で少しキレのある味に仕上げています。 クラシカルな見た目の一杯は、スープを一口飲めば体に沁み渡るようなほっこりする旨さ。醤油のキレと動物性の旨みを感じ、ビジュアルのみならずどこか懐かしさを感じます。