前回は7万票以上が無効に 都議選投票で無効になる・ならないの差とは?
7月2日に投開票日を迎える東京都議会選挙では、投票用紙に候補者の氏名を書いて投票します。せっかくの一票も、書き方を間違えたり白票のまま投票したりすると「無効票」として扱われます。候補者名の代わりに所属政党名やニックネームを書いても大丈夫なのでしょうか。
どんな票が無効票になる?
何が無効票になるかは、公職選挙法第68条で定められています。(1)所定の用紙を使わない場合、(2)候補者以外の人の氏名を記載した場合、(3)投票用紙に2人以上の候補者を記載した場合、(4)自分で書かなかった場合、(5)どの候補者なのか判別し難い場合などがいずれも無効票になります。候補者氏名以外の記載があった場合も無効ですが、職業や身分、住所、敬称の記入については許されています。
政党名を書いてしまうと?
政党名だけを記入した場合、どうなるか。東京都選挙管理委員会によると、有効票か無効票かの判断は、各選挙区の開票所にゆだねられます。その上で、「開票の際、その選挙区で、その政党の公認候補が1人しかいなかったとき、有効票にして良いのかどうか、という議論が出てくるでしょう。最終決定は開票責任者が行いますが、決める際には立会人の意見を聞いて決めます。立会人の異議がなければ有効票になり、異議が出れば無効票になると考えられます」。無所属の場合も、同じ扱いです。 選挙区内に、同じ政党の公認候補と推薦候補がいた場合は、判断が難しくなります。「公認候補が優先されるとみられますが、推薦候補が自分の所属政党Aよりも、推薦された政党Bとの関係を強調した選挙運動を行なった場合、有権者はその候補者が政党Bの人間だと認識するかもしれません。そうなると、判断に迷うケースになるでしょう」 同じ政党の公認候補、もしくは無所属が2人いた場合は、どちらの票か判断がつきかねるので、無効票となる可能性も高いそうです。
候補者名を書き間違えてしまうと?
候補者の名前を記入しても、誤った記載の場合は無効になるケースがあります。投票所では、投票用紙に記入する机の上に、各候補者と所属政党のリストが貼られています。それを見ながら記入する際に、名前を書き間違える人がいるそうです。 たとえば、リストに「山田一郎」という候補と、その隣に「佐藤二郎」という候補の名前が記載されていた場合、うっかり「山田二郎」と書いてしまうと、どちらの名前を記入しようとして間違えたのか判断がつかなくなり、無効扱いとなる可能性があります。 同じ氏名、もしくは同じ苗字または名前の候補者が2人以上いる場合、投票用紙に氏名、または苗字か名前のみを記載した投票があったときにはどうするか。これは「按分(あんぶん)票」と呼ばれており、各候補者の得票数の割合に応じて分けられます。 按分された得票数は、按分票や各候補者の得票数を、「按分票×候補者の得票数/対象となる候補者の合計得票数」という式に当てはめて計算します。 たとえば、「鈴木一郎」と「鈴木二郎」という候補がいる選挙区で、「鈴木」と書かれた票が10票あり、鈴木一郎の得票数が200票、鈴木二郎が50票だった場合。鈴木一郎候補の按分された得票数は計算の結果、「10×200/250」で8票となります。 今回の東京都議会選挙の選挙区中、大田区と葛飾区、三鷹市で同じ苗字、もしくはひらがなで書くと同じ名前の候補者がそれぞれ2人存在します。これら選挙区の有権者は注意が必要です。 前回2013年に行われた都議選での無効票数は、7万4125票(無効投票率1.61%)。都内でいうと、稲城市における今回の選挙人名簿登録者数(7万2312人)に相当する数の票が無効になりました。 東京都選挙管理委員会は「自分の一票が無効になったため、本当に応援したい候補者が1票差で負けてしまう場合もありえます。せっかくの大切な一票、投票用紙には候補者の名前をぜひとも正確に記入して、応援する候補者に届けてほしい」と訴えています。 (取材・文:具志堅浩二)