予想以上の反響を集めている「シビックRS」 “走りの魅力”は当然として、好スタートを切れたもうひとつの理由とは?
シビックRSは、販売1か月で約2000台の受注を獲得
ホンダが9月に発売した改良型シビックの約1カ月後の販売状況を発表した。 内容としては10月20日時点で約3000台の受注を集めており、これは月当たりの販売計画500台に対して約6倍の実績。さらに今回の改良に合わせて新設定した6MT専用グレード「RS(アールエス)」が、全体の7割弱を占める約2000台の受注を集めているという。 【画像】シビックRS 販売好スタートの理由(×13枚) この手の趣味性の高いスポーツモデルは、販売初期にオーダーが集中する傾向があるが、熱狂的なファンを持つタイプRがありながら、RSは好調なスタートを切ったといっていいだろう。 【HONDA シビック RS】●全長×全幅×全高(mm):4560×1800×1410 ●ホイールベース(mm):2735 ●トレッド:(mm)1535(F)/1565(R) ●車両重量(kg):1350 ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:1496cc直4DOHCターボ(182ps/24.5kg-m) ●トランスミッション:6速MT ●WLTCモード総合燃費:15.3km/L ●ブレーキ:油圧式ベンチレーテッドディスク(F)/油圧式ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソン式(F)/マルチリンク式(R) ●タイヤ:235/40R18 ◆「RS (ロードセーリング)」というグレードは、現行モデルではN-ONEとフィットにも設定されている。タイプRとは別系統のスポーツシリーズとして、ホンダが大事に育んでいるモデルが揃っている。 ◆赤と黒を使ったハイコントラストで描かれるブラック基調のインストルメントパネル。装備機能の充実ぶりも人気を集める理由のひとつ。 ◆RSのスポーツシートはサポート部の張り出しも控えめ。普段使いでも不自由を感じさせない設計になる。
スポーツセダンのマニュアル市場は、ライバル不在のブルーオーシャン
ホンダは、シビックRSが評価されている理由として、「RS専用の軽量フライホイールやレブマッチシステム、足回り設計を採用したことで実現した、軽快でクルマと一体感のある走りが楽しめること」を挙げており、編集部での試乗した印象もそのとおり。 タイプRはサーキットも視野に入れた“リアルスポーツ”路線、RSはロングツーリングが楽しい“ファンドライブ”路線と、上手にキャラの棲み分けができていることが、マニュアルスポーツを求めるユーザー層に受け入れられたといえるだろう。 そしてもうひとつ注目したいのが、ライバル不在の現状だ。 一昔前は少ないながらも、マニュアルシフト特有のダイレクト感を楽しめるスポーツモデル(セダンやクーペなど)がそれなりにあって、新車でそれらを狙うことも容易だったのだが、2ペダル車の技術進化も手伝って、マニュアル車は世界的に絶滅危惧の危機に瀕している。 現在、マニュアル車を選べるモデルとしては、ヤリス(GRヤリスも含む)やGRスープラ、GR86(BRZ)、ロードスター、スイフトなどがあるが、程よい塩梅(性能や価格など)のスポーツモデル、特にセダン系が好みだと、選択肢は中古車で探すしかない……という状況だ。 ◆RSとタイプRは、走りを共通のキーワードにしつつも、目指す方向は大きく異なる。タイプRがサーキット走行も視野に入れた絶対的な速さ、ストイックなスポーツカーを目指しているに対して、RSは速さよりも操る喜びを感じやすい、ファントゥドライブ的な面白さが楽しめるスポーツモデルに仕立てられている。 ◆専用にチューンされたフットワークもRSの持ち味。スプリングやダンパーだけでなくブッシュ類のチューニングまで踏み込んで仕立てられている。 ◆GR86は国産スポーツクーペの代表的なモデル。6速MTと6速ATを選ぶことが可能。価格は293万6000~361万6000円と、お手ごろな価格設定もあって、安定した人気を集めている。 ◆マツダの代名詞でもあるロードスター。価格は289万8500~430万8700円。ソフトトップ幌に加えて、ハードトップのRF系も選択可能。スポーツ派から絶大な人気を集めているが、セダンのシビックRSとはターゲット層がまったく異なる。 ◆スイフトは中間グレードのハイブリッドMXに5速MT車を設定している。